第六十八話 ページ19
「けど、なんだ?」
さらに追及されて、私は戸惑う。
なんでこんな尋問みたいに聞かれなきゃいけないんだ。
そして、私はいつまで抱きしめられていればいいんだ。
手の置きようがない。
抱きしめ返したらそれはどう考えてもおかしいし、だけど先生の腕が邪魔して腕は宙に置かれたままだ。そろそろ疲れてきそう。
「……そんなに、仲良くはない、です……。 会長と、委員長っていうくらい……でしか、ないし、それ以上の関係になるつもりも、ない……です」
なんとかハッキリ言ってのける。
これは心からの言葉で、会長との関係を聞かれても心の底から私は困ってしまう。
だって、本当にそれ以外の関係ではない。
それに、会長にも失礼だろう。会長は多分、副会長っていう素敵(?)な方と結ばれるんだし。
うん、勿論皮肉つき。
「……そうか」
それだけ言うと、先生はふぅ、と息をついてさらにきつく私を抱きしめた。
思わずうっと息を詰まらせ、心臓の鼓動はさらに早くなっていく。
あぁもう、うるさい静まれ先生に聞こえたらどうするつもりだ。
先生に一刻も早く離してほしいけど、離してほしくない。
だって顔が今真っ赤だ。こんな顔を先生に見られたくない。あぁもう消えてしまいたい仏頂面ほしい!
頭の中がショート寸前だ。
「あ、あの……先生……?」
「……ん?」
耳元で聞こえる、低くて甘い声。
それは、恋人に聞かせるようなソレで、初めて聞くそんな先生の声に私は戸惑いしか覚えない。
それに追い打ちでもかけるかのように、先生の指が優しく私の髪を梳く。
壊れ物を扱うような、そんな愛おしそうな好意に、心拍数は上昇していくばかりだ。
本当に気を失ってしまいそうな、そんな甘さにまみれて息も自由にできない。
頭の中が支配されてしまったかのように指一つ動かせないで、私は先生にされるがままだ。
やがて十分に私の髪を梳き終えた先生は、一房私の髪の毛を掬って手に取った。
ゆっくりとそれに先生は顔を近づけていき、そっと口づける。
「っ、せん、せ……」
「ん?」
甘い。
視線が、声が、指先が、空気が、雰囲気が、匂いが、この部屋のすべてが。
甘くて、蕩けてしまいそうだ。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ayakaさん» Rの要素ございました? (2020年6月25日 14時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
ayaka - [R]つけてください (2020年6月24日 20時) (レス) id: 6bf9ec98ce (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ゆうきさん» あぁああうれしいです!全力できゅんっと来るような描写をさせていただきます…無駄に多く長い小説をすべて読んでいただき感激のあまり…いや本当に感激です!(語彙力が足りない)ありがとうございます、頑張らせていただきます!! (2017年6月25日 13時) (レス) id: d48db6c0c1 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - いか糖さん» 本当に長くなりそうなので飽きないって言ってくださってうれしいです……!ワンパターン・テンプレばかりの小説だというのにそんなことを言って下さるなんて…!頑張ります!! (2017年6月25日 13時) (レス) id: d48db6c0c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメント失礼します!先生かっこよすぎませんか!?一話から続けて読んでいますが、先生の一つ一つの動作にキュンキュンさせられてます!こんな先生本当にいたらいいのにな…更新がんばってください!楽しみにしています! (2017年6月11日 15時) (レス) id: 6c9139a3b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年11月14日 20時