５９: 体調不良 ページ9
.
青「おーいAくん？Aくーん」
「………ん、」
紅「授業中にお前が寝るとはな。次移動だぞ」
「あ、うん。ごめん」
いつの間に眠っていたんだろう。昨日は夜更かしもしなかったが
諸々の教材を持って立ち上がった瞬間、重だるさと頭痛、少しの息苦しさを感じて顔を歪めた。フラついて、思わずなずなに寄りかかる。
な「ちょっ、Aちん！？大丈夫か！」
「ごめん、大丈夫」
驚いて慌てるなずなを、無理やり笑顔を作って宥めた。
自分でも下手な嘘だと思う。一歩踏み出すたびに頭痛がして、息が苦しくて体がだるい…体調が悪いことが手に取るように分かる。
熱があるのか揺れる視界に、少し目を細めた。
また少しフラつくと、今度はつむぎに支えられる。
青「Aくん、保健室に行きましょう。すみません２人とも、どちらか先生に伝えて貰えますか？」
な「任せろ！Aちん、お大事にな〜」
紅「無理してでも授業受けたいのかよ……ゆっくり休めよ」
頷くだけでも頭痛がして、思わず呻き声を上げてつむぎの服をぎゅっと握った。
「ぅ……つむぎ、早く行こ…」
青「は、はい！」
抜かった…冬場は体調を崩しやすいのを忘れていた。自分のことくらい自分で管理しろという話だが、今はそれどころじゃない。
定まらない視界の中で、つむぎに何とか支えられながら廊下を進んだ。
青「失礼します！」
「うぅ…先生頭痛薬ちょうだい」
佐「おぉい月永〜、体調管理しっかりしろって去年の冬も言ったろ。おら熱はかれ」
ブレザーだけ脱いでベッドに寝転がると、随分体が楽になった。つむぎが不安そうにベッドの脇へしゃがみ込んでいたから、少し微笑んで見せる。
「大丈夫だから、早く授業行きなよ」
青「ほんとですか？佐賀美先生ちゃんと見てくれるか分かりませんし…」
「こら聞こえるだろ…w 寝てれば治るでしょ。ほんとに大丈夫だから」
まだ不安そうにしながらも立ち上がって、掛け布団を掛けてくれた。
電子音が鳴った体温計を見ると38.2°と少し高い。まあよくある経験だし、驚かないが。
青「じゃあ、また来ますね。早退になるかも知れませんけど…」
「ん。……ごめん、ありがとう」
青「ふふっ、いいえ…♪」
柔らかい笑顔でつむぎが去って行くと、どっとだるさがのし掛かってくる。大きく息を吐いて、微睡みに身を任せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
