８６: 衝突 ページ36
チャイムが鳴ったことで何とかあの場も収まり、沢山の人からの視線を感じながら教室に戻った。
でも、あの場が収まったことは事態が全て収まったこととイコールではない。
な「レオちんっ、落ち着いてくりぇよ！」
月「知ってて全部見てたのか？全部全部放り投げて！おれにだけ重荷を背負わせて！」
「ってぇ…！」
紅「月永！」
胸ぐらを掴みあげられたかと思えば突き飛ばされ、尻餅をついて机と椅子に思いっきり突っ込んだ。
物凄い音を立てて辺りの机が倒れ、誰かの教科書が床に散らばる。
「っ…そうだよ」
月「おれ達がどれだけ苦しんでっ…どんな思いで今スオ〜を守ってると思ってんだよ！」
「じゃあ教えてくれよ！」
俺が悪い。そんなことは分かりきっている。それでも、自分だけが悪いと言われるのは流石に看過できなかった。
憎しみを込めた表情で見下ろすレオを見上げる。
「革命が起こったから今の学院があるんだ。その為に必要な過程として、大きくなりすぎていたKnightsを一度負かさなきゃいけなかった」
月「だからおれが苦しむのも当然だったって！？」
「舞台で一緒に歌ったら、英智に正体をバラさない訳にはいかないだろ！そしたら革命は為されない……俺は未来で大多数が幸せになることを選びたかった！」
倒れた時に駆け寄ってきてくれた紅郎が、どこか萎縮したように固まる。それも気にせずに口を開いた。
「俺のした事が間違いだったなんて言わせない！間違いだったって言うなら何が正解だったか教えてくれよ！」
紅「落ち着けA！」
紅郎の声で我に帰る。
これじゃまるで、レオを責めてるみたいな…
「っレオ！」
な「レオちん！」
ハッとして見上げた時にはもう遅かった。
レオが泣きそうな顔で教室を駆け出し、なずながそれを追いかけて行く。教室が静まり返って、再び俯いた。
恨まれて憎まれて当然のことをしたのはこっちだ。それなのにあんな言い方…
「ごめん…」
青「ど、どこに行くんですか？」
「頭冷やしてくる」
皆んなに謝って机を直し、フラフラと教室を出た。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
