64: ハロウィンパーティー ページ14
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「おーい。楽しんでる〜?ああ、千秋は怖いのダメだっけ」
忍「月永殿!あれっ、制服のままでござるか?」
「奏が嫌だって言うんでな」
ハロウィンパーティー当日は予想以上に人混みが凄かった。
小さな子供もいれば好きなアイドルを応援しに来た大人や高校生もいて、ちびっ子達はやはり可愛い。
ライブまでは制服で居たいと奏が言うので制服のままで辺りをふらふらしていたが、流星隊の皆んなを見つけて歩み寄った。
「んーと、キョンシーで合ってる?」
鉄「ご名答ッス!先輩は何の仮装をするんスか?」
「何だっけ?確か狼の…ちょうど良いマスクがあったから。ま、お楽しみってことで」
深「うふふ〜…♪『たのしみ』にしてますね〜」
ふわふわ笑う奏汰は、随分と楽しそうだ。奏汰にとってお祭り騒ぎは少し物珍しいのかもしれない。
ため息を吐いた翠を見ると、ガタガタと震える千秋がしゃがみ込んで抱きついていた。
「あはははっw おい千秋ぃ、そんなに怖がんなくてもただの仮装だぞ?翠もう呆れてるし」
千「わっ、分かってはいるのだが…っヒイィ!」
翠「はぁ…先輩助けてくださいお願いです」
「いや無理だよw まあ皆んなが揃ってれば大丈夫だろ。そのうち慣れると思うけど?」
心底面倒臭そうに、翠がため息を吐く。それでも千秋を引き剥がしたりはしないから優しいやつだ。
話し込んでいると、背後から可愛らしい幼い声であの合言葉「trick or treat !」を投げ掛けられる。
振り返ってちびっ子達の前にしゃがみ込み、もう沢山溜まったお菓子の籠からいくつかのお菓子を取り出して皆んなに渡した。
一気に笑顔を咲かせるちびっ子達は、その幼い喋り方でお礼を告げて走り去って行く。
「楽しそうだな〜、ちびっ子達」
鉄「俺にもあんな時代があったと思うと面白いッスね」
「鉄虎はほんとに無邪気だっただろうなぁ。ちょっと会ってみたい気がする」
鉄「えぇっ?今とそんなに変わらないと思うッスけど…」
困った顔をされたので冗談だと笑い飛ばし、足元に擦り寄ってくる犬を抱き上げた。
動物まで仮装をしているというのもなかなか面白い。動物がダメだという人も居るかもしれないが、これはこれで楽しいものだ。
深「『せっかく』ですから『いっしょ』にまわりますか?」
「えっ、良いの?」
皆んなに勿論だと頷かれ、お言葉に甘えて一緒に回ることにした。
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2019年12月14日 3時