１０５: 珍しい顔 ページ5
『ノックは３回、自分の名前を言いなさい』これは宗さんに言われた事で、今でも律儀に守っている。
いつもと同じように扉を叩いて声をかけると、すぐに扉が開いた。
宗「入りたまえ。」
「こんにちは、失礼します。」
優しい笑顔で出迎えてくれる宗さんに着いて、色鮮やかな布や糸が輝く部屋へと踏み入った。
ふと、見慣れない顔を見つけて驚く。
「つむぎさん？こんにちは！」
青「あれっ、Aくんじゃないですか！久し振りですね〜、身長伸びました？」
「はい。また視線が近くなりましたね♪」
青「追いつかれそうで心配になっちゃいます」
棚の布を物色するつむぎさんに笑顔を向けた。そういえば、彼も手芸部だったっけ
宗さんに睨まれるつむぎさんが不憫だったのでそそくさと離れ、椅子に腰掛けた。
「宗さん、今忙しかったりしますか？」
宗「いや、そこまででは無いが」
「毎回頼むのも心苦しいんで迷ったんですけど……衣装、作っていただけませんか？」
宗「ああ、構わないよ。」
あっさりと了承して貰えてちょっと面食らう。
引き受けてくれた事に感謝して、詳細などを伝える為に資料を手渡した。
つむぎさんがチクチク裁縫している前でイメージを伝えたりしてデザインを練っていると、不意に宗さんに言われる。
宗「瀬名と何かあったのかね？」
「はい？？」
宗「ここ最近ずっとイライラしていてね、見ていて気持ちが良くない。理由を聞いても何も言われなかったが、チラリと君の名前が出たのだよ」
「うぅ…何か申し訳ない……」
縮こまって言うと、後ろでつむぎさんも口を開いた。
青「月永くんもですよ。イライラ…じゃないですけど、様子が変なんですよね。瀬名くんがよく様子を見にきてますし」
「あぁもう嫌だ…」
自分が迷惑を掛けているのが丸分かりだ。頭を抱えて首を振ると、優しく背中を摩られた。
顔を上げるとつむぎさんが微笑んでいて、安心感を覚えて力が抜ける。
青「Aくんだけのせいじゃありませんよ、きっと。大丈夫、時間が必要なだけです」
宗「そういえば何か拗らせていたんだったかね…まあ、大丈夫だと思うけれど。」
２人の言葉に、焦燥感が収まっていくのが分かる。
その後は何事も無かった様にデザインを完成させて、いつまでに完成させるという約束を
して、手芸部を後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 294人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃烏(プロフ) - 推しが可愛すぎさん» 感動していただけた事に涙ですっ｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ご期待に添えるよう、頑張ります！ (2019年11月18日 19時) (
レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 如月さん» 閲覧頂きありがとうございます！夏目くんとの関係、エピローグにて書いております(^-^) しばしお待ちを！ (2019年11月18日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
如月 - とてもおもしろかったです！自分的には夏目くんとの関係がみたi ��(ﾟoﾟC=(__:次回作も楽しみにしてます！ (2019年11月18日 0時) (レス) id: 9471f73ad6 (このIDを非表示/違反報告)
推しが可愛すぎ(プロフ) - なんか感動と涙しかありませんでした！(あれ同じ？)好きだったので続きとかまだ見たかったですが次回作がんばってください！ (2019年11月18日 0時) (レス) id: b43a5c5bee (このIDを非表示/違反報告)
黒影(プロフ) - 12月にもう1回ですか……頑張ってくださいね (2019年10月30日 17時) (レス) id: 18284fa39e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年10月19日 1時
