76 仮説 ページ26
時透side
屋敷に帰る前、偶然玄弥を見かけて声を掛けた。
Aの事で、どうしても気になる事があったから。
「あのさ、半鬼化してる時って手足は『再生』するの?それとも切れた場所を『くっつければ治る』の?」
「俺は後者っすね。体貫かれたとかだと再生しますけど、切断されたら押し付けないと治んないです」
「……そっか。ありがとう」
いいえ、と微笑む玄弥に手を振って、屋敷への道を急いだ。
やっぱりAはおかしいんだ。異常なんだ。Aの体は玄弥とは違う。まだ確定材料が無いから断言は出来ないけど…
多分。恐らくだけど。ただの仮説だけど。
___Aの体には既に鬼の血が流れている。
鬼の一部を取り込む事で『半鬼化する』んじゃない。
『鬼としての力が覚醒する』んだ。
そう考えれば色々と辻褄が合ってくる。
手足の再生、
それが正解だとしたら、いつか何処かで鬼の血を傷口に浴びている筈だ。
幼い頃なのか、それともあの時…下弦の肆を相手にした時なのかは分からないけど。
Aに聞いても分からないと返された。
予想はしていた事だけど、やっぱりどうしようも無い不安に苛まれてしまって。
そのせいかいつもより深くなった口付けも、Aは拒む事なく受け入れてくれた。
絶対に手放さない。例え柱の全員に危険視されても、絶対に。
ーーーAside
柱稽古の事を聞いて了承し、久し振りに蝶屋敷にでも行こうと2人で外に出た。
「わっ」
「A?」
「ごめん、なんか太陽の光が眩しくて…」
「……そう」
眉を顰めて顔を逸らしてしまった無一郎を見て何かしただろうかと不安を募らせる。
やっぱり柱の皆さんを説得してもらうの迷惑だったかな…
申し訳ないのと顔を逸らされた事の動揺と謝るべきか否かと色々な事が胸を苦しくさせる。
でも握られた手は温かくて優しいいつもの無一郎だから、何を言えば良いのか分からない。
ほんの少しだけ前を歩く無一郎の隣に並んで、やんわりと握られた手に力を込めた。
すると無一郎は珍しく驚いた顔をして、小さく笑う。
「真っ赤だね」
「ぅ……言わないで下さい…」
いつの間にか無一郎も背が伸びていて、ちょうど同じくらいの高さにある秀麗な顔立ちが柔らかく笑みを描いた。
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瑠璃烏(プロフ) - いちごぱふぇさん» (今更かよって感じですが返信させて頂きます(ー ー;))ありがとうございます!こういうチートキャラ的なの書いてみたかったので作者も楽しかったです。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ(プロフ) - ああもう好きです!!!!好きすぎて好きが止まんないですどうしてくれるんですか! (2020年7月7日 20時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - ゆりなんぽんさん» ぜひ拝読させて頂きます!改めて、最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年4月20日 22時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - manamimoon0511さん» ありがとうございます!楽しんで頂けたのなら本望です(´∀`*) (2020年4月20日 21時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
manamimoon0511(プロフ) - 凄く面白かったし素晴らしかったです!!ほんっとに有難う御座います!!!! (2020年4月20日 18時) (レス) id: 0aa1fe61f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 x他1人 | 作成日時:2020年4月2日 10時