６: ちょっと寂しい ページ6
「ただいま」
凛「疲れた〜…」
家には今、誰もいないらしい。
無駄に広い玄関から無駄に広い廊下を歩いて無駄に広い部屋へ向かう。
部屋が隣同士なので、凛月を部屋に押し込んでから自室へ入った。
「はぁ……あれっ？零兄さん？」
零「おかえり。A」
部屋に入ると、窓際に零兄さんが立っていた。
片手には本があり、月明かりを頼りに読んでいたのだと分かる。
「帰ってたんだね。」
零「たまには帰らねばと思っての」
「そっか。てゆーか何で立ってるの？座って。お茶用意しようか？」
零「いや、少し遊びに来ただけじゃから。」
そう言われたが、一応お茶の用意をする。
カバンを置いて、スマホだけを取り出して通知を確認した。
何も来ていない事を確認して、充電器に繋ぐ。
零「次はいつ帰ってくるのじゃ？」
「うーんと？２ヶ月後だったかなぁ？」
零「楽しみだのう。」
「ふふっ、うん！」
紅茶を零兄さんに出して、私も椅子に腰かけた。
父と母は音楽家で、父はヴァイオリン、母はピアノのプロだ。
学生時代に、母が父の伴奏を担当したことで仲良くなったらしく、今でも世界中を飛び回っている。
将来の事を強制されないだけ良い親なのだろうが、私が物心ついてからは１週間も一緒にいた覚えが無い。
嫌いなわけでは無いが、ちょっとマイナスな気持ちはある。
「またどうせ約束破るんだと思うけどね〜」
零「………そんな事を言うものではないぞ。」
「うん…」
でも本当の事だ。出て行くときは、『○日に帰ってくるよ。約束ね。』と言うくせに、大体１ヶ月くらい伸びる。
私より仕事の方が大事なんだと思わざるを得ない。
零「ふぅ…ご馳走さま。ありがとう。」
「はーい。」
零「凛月は？部屋に居るのかえ？」
「うん。」
零「そうか。ではまた後での。」
「うん。」
そっと閉じられたドアを見届けて、ため息をついた。
零兄さんだってそうだ。
私の事も大事にしてくれてるけど、私よりも凛月が大事なのは分かる。分かってしまう。
「別にいいけど……」
いいけど…
ちょっと寂しい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 283人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃烏(プロフ) - 十六夜 桜さん» ありがとうございます！もう何と言いますか…インスピレーションが湧かなくて（ ; ; ）何とか書いておりますので、もう少しだけお待ち下さい！ (2020年1月6日 12時) (
レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 桜(プロフ) - とても素敵な作品ですね！続きを楽しみに待ってます！零推しには嬉しいですね。(零の小説があまりないので) (2020年1月6日 1時) (レス) id: 12d90357d6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - みーこさん» 長い間の更新停止、すみませんでした！お言葉、恐縮です。頑張らせていただきます！o(｀ω´ ) (2019年11月16日 14時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - すごい好きです！更新待ってます！ (2019年11月13日 8時) (レス) id: ad66a60e86 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 紅さん» 閲覧頂きありがとうございます！ご指摘、その通りでございます(>_<)勉強の合間に書いたもので…！痛み入ります、すみません！ (2019年9月16日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年9月4日 9時
