黒いコート ページ26
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後ろから声をかけられ、私は用心深く後ろを振り返れば、そこには見覚えある男性が立っていた。
そうだ、あの時の黒いコート！
昨日の駅で、写真を撮ってくれた男の人が立っていたんだ。
知らない人じゃなくて、ほっと胸をなで下ろした。
「あの、昨日は写真ありがとうございました。」
私がぺこりとお辞儀をすると、黒いコートの男の人は手を振って、ニコッと笑う。
「全然構わないよ。」
覚えられて無かったらどうしよう、と思ったけれど、すぐ返事が返ってきた。
私達の事を覚えていたようで、安心。
見た感じ、20代前半くらいの男性で、重苦しい雰囲気の黒いコートに似合わず、爽やかな顔立ちをしている。
私はハッとして彼の「どうしたの？」という第一声を思い出し、質問に答えた。
「転んで濡れちゃったんですけど、着替えが無くて。」
私が苦笑しながらそういうと、彼は腕を組み、考え込んだ。
「うーん。そのままだと気持ち悪いしなぁ。
良かったら洋服、貸そうか？」
うっ、この笑顔危険だ･･･。
甘い微笑みに、ついうっとりする。
だけど、どことなく漂う瞳の奥の光に私は釘付けになってしまった。
なんだか、寂しそうな眼をしていた。
それは、何か大切なモノを失った人の眼にも見えた。
私は、呆然としながらもつい頷いてしまった。
「じゃ、ちょっとおいで。」
私は、言われるがままに彼について行った。
“知らない人にはついて行っちゃダメ”
ふと、ある言葉が頭に浮かんだ。
それは子供の頃からうんざりするほど聞かされた言葉。
この人は知らない人じゃないし、良い人だと思うからいいよね･･･。
それに、なんだか不思議な眼をしていた。
私はそんなことを考えながら、後をついて行った。
____この時の私の軽率な考え方が、あんなことになってしまったんだ。
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ふわふわ - 新しい作品楽しみにしてます！^_^ (2020年5月14日 16時) (
レス) id: 25ce3e61b4 (このIDを非表示/違反報告)
みーみ - この話完結してなくないですよ。 (2020年4月18日 15時) (レス) id: d089e3229f (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ - 続きをお願いします (2020年4月8日 16時) (レス) id: c350fd39bf (このIDを非表示/違反報告)
ツキ - 訂正してばかりですが、お話面白いので、頑張ってください！ (2020年4月1日 10時) (レス) id: ec2bb43d30 (このIDを非表示/違反報告)
ツキ - 29ページの『ごめんな。』で、「息がかかりほうなほどに、」とありますが、「息がかかりそうなほどに、」ではないでしょうか (2020年4月1日 10時) (レス) id: ec2bb43d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ。 | 作成日時：2019年1月2日 14時
