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「きみはほんとにバカだね」

白くてふわふわしたものがにこりと微笑んだ。


「しんでもいいっておもってるの?」

くりくりとした目がわたしを覗き込む。


「あといっかいだけだよ」

もちもちの頰を膨らまして、ぷんぷんと怒った。


「あたし、もうげんきがなくなっちゃったから」

猫のような耳も一緒にしょんぼりと俯く。


「よーく、かんがえて」

白い猫耳を生やした可愛くて小さな女の子は、上目遣いでわたしにそう言った。


「じゃあねーっ」

きゃっきゃと駆けて行って、白い綿あめの向こうに消えて見えなくなった。







ぐわんぐわんという頭の痛みで目が覚めた。

真っ白な天井に小さめのシャンデリアが見える。
喉がカラカラに渇いている。
身体中が筋肉痛のような感じで、起き上がれない。

横に小さな丸いテーブルがあって、花瓶と誰のものか分からないピンク色のスマホが置いてある。
痛む腕を伸ばしてスマホを掴み、暗証番号がかかっていなかったのでそのままメッセージアプリを開いた。
送信先は『快斗』にして「おはよう」と入力してから送信すると、ドアの向こうでピロリンと可愛らしい着信音が鳴る。

バタバタと足音が聞こえたと思えば大声で寺井さんを呼んで慌てている。

それにしてもさっきの夢、ただの夢とは思えなかった。わたしはあんなに想像力豊かじゃないし。
あれが本当だとしたら治癒能力に制限があるということで、あと一回しか使えない。
あの可愛い子が、魔法をかけて治してくれてたんだ。
でももしかしたら裏があるんじゃないか?


そこで思考を中断しなければならなかった。音を立てて乱暴にドアが開けられたからだ。
心配そうな快斗くんが先に部屋に入ってきてわたしが寝ているベッドに駆け寄り、水の入ったコップを持った寺井さんは薄暗かったので電気のスイッチをパチリとつけた。


「A……っ、良かった!」

「……では、私は青子様にご連絡を差し上げに席を外れます」


わたしの安否を確かめられた寺井さんは、わたしと快斗くんを残して静かに部屋から出て行った。
快斗くんは近くの椅子に腰掛けながらコップを渡してくれたので、長い間何も通っていなかった喉を水で潤す。

ごく、ごく、ごく。
ほんの少しだけ元気が出てきた気がしたが、隣で頬杖をつく快斗くんの溜息で気が重くなった。

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たんぽぽ珈琲(プロフ) - わーんいつのまにか30万hit超えてたー。嬉しいです。ありがとうございます。これからも名探偵コナンの夢小説盛り上げていきましょー! (2020年12月14日 22時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明里香さん» 誤字の指摘、ありがとうございます。お恥ずかしい限りです……。明日までには直しますね。 (2018年11月18日 19時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - タイトルの掛け、「賭け」ではないですか? (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 特製ミルクティーの話、誤字がありました。「こんな事始めて」ではなく、「こんな事初めて」です。 (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 星を見守る砂岩さん» きゃー!そう言って頂けて嬉しいです!!更新頑張ります! (2018年10月13日 22時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たんぽぽ珈琲 | 作成日時:2018年8月23日 3時

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