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蛇と蛙 ページ30

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嫌だ。まだ、シニタクナイ。
怖い。でも歩く。
何も知らない、哀れな少女を装って。
いつも通り、わたしは家に帰っているんだ。


「兄貴」

「あぁ……分かってる」


こんな会話なんて聞こえてない。聞こえてない。
聞いてない。絶対聞いてない!


耳を塞ぎたくなるが、恐怖で腕が動かない。
ジンに見られている。
あの凍ったように恐ろしく冷たい目で、見られている。

蛇に睨まれた蛙のようだ、と思った。


恐怖で脚も動かない。
どっどっど、と心臓がうるさくて呼吸音も聞こえない。


真っ暗で人気のない、いつもなら昼間にしか歩かない道。
でもよく通る道。

その前の方に、真っ黒な「ポルシェ356A」が停まっているのが見える。
助手席と運転席のドアが開く。
バタン、とドアを閉める音が静かな夜の道に響く。
その音を聞いて、背筋が凍る。


月明かりを反射してきらりと光る銀髪と、
真っ黒な服も、帽子も、見える。
それが、近寄ってくる。


一歩、一歩。
わたしは後ずさる他にできることが無い。


一歩近づいて、一歩後ずさる。
でも威圧感で脚がガタガタ震え出して使い物にならなくなってしまった。


口の中が乾く。水分が足りない。
ピリッとした空気に変わって、わたしは身動きが取れなくなる。

ジンとウォッカはまっすぐ、ズカズカと歩み寄ってくる。

わたしは生まれて初めて大量の殺気を浴びたため気を取り留めるのに必死だ。


あと一歩でぶつかるという距離になった時。
ジンは、最後の確認だとでも言うように話しかけてきた。


「水鳥Aで間違いないな?」


たったそれだけの言葉。


「……だったら、なんだ、って言うんですか」

「おさらばだ」


かちゃり。
ベレッタの安全装置が外された。
ぐり、と冷たいサイレンサーが額に押し付けられる。


「……けん、じゅう」


絞られるようにして引き金が引かれるのを、目の前で見た。

パァン、と鈍い音と同時に頭に銃弾が貫通した、感覚があった。

頭から大量の血が吹き出て、ぐらりと身体が傾き、綺麗な星空が見える。




「曇りじゃなくて、よかった」なんて事を思った。


視界の端で二人が愛車へ戻って行くのが見えて、それから目の前が真っ暗になった。

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たんぽぽ珈琲(プロフ) - わーんいつのまにか30万hit超えてたー。嬉しいです。ありがとうございます。これからも名探偵コナンの夢小説盛り上げていきましょー! (2020年12月14日 22時) (レス) id: bfc4d62160 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 明里香さん» 誤字の指摘、ありがとうございます。お恥ずかしい限りです……。明日までには直しますね。 (2018年11月18日 19時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - タイトルの掛け、「賭け」ではないですか? (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 特製ミルクティーの話、誤字がありました。「こんな事始めて」ではなく、「こんな事初めて」です。 (2018年11月17日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - 星を見守る砂岩さん» きゃー!そう言って頂けて嬉しいです!!更新頑張ります! (2018年10月13日 22時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たんぽぽ珈琲 | 作成日時:2018年8月23日 3時

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