18話 ページ18
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「てことがあったんだよ玄弥君や。」
「なんで俺。」
「だって目の前に玄弥がいるんだもん。」
「当たり前だろ前の席なんだから。」
こちら、通常運転のAと玄弥。
いつも通りなんやかんやでAの話を聞いてあげる超絶優しい思春期男子。それが不死川玄弥。
「てか無一郎君ってあの時透さんだよな?」
「え、なんでさん付け。」
「さあ。」
教科書をパラパラと捲りながらAは玄弥を不思議そうに見る。
「玄弥ってそんなに礼儀正しくないよね?」
「いつも思うけどお前すげぇ失礼だよな。」
はぁ、と溜め息をつき玄弥はAのことをじとっとした目で見る。
「やだ私がそんなに可愛い?」
「自意識過剰、って言いたいけど本当にお前顔良いもんな。顔は。」
「全力で褒め言葉として受け取る。」
ポジティブかよ…と呟くと玄弥はぱらりとある紙を取り出して読み始めた。
Aは不思議そうにその紙を覗き込む。
「射撃の大会?」
「ああ、来週。」
「しょうがないなぁ。応援してあげるよ。心の中で。」
「なんで上から目線なんだよ。」
ほとほと呆れ返った様子で玄弥は溜め息を零した。
「…応援してくれんなら、見に来いよ。」
「え?」
玄弥は紙から視線を移すことなくAに言った。
「暇なら、見に来いよ。」
Aはまさか玄弥からそんなこと言われるなんて想像もしていなかったから、玄弥本人かきちんと確かめようと思った。
その確認方法は勿論、髪を触ること。
「な、にやってんだよ…!」
Aが玄弥の髪をくるくると指に巻き付けると、途端に顔を真っ赤にしてAの手を振り払った。
あ、本人だわ。
「…ごめんね疑って。」
「は?」
「じゃあしょうがない。そんなに私に来て欲しいなら行ってあげますよ。感謝しなさい。」
「取り消しって可能だよな?」
「場所は?」
「お前の耳は飾りか?」
Aはぱっと玄弥から大会についての紙をひょいと取り上げるとスマホを取り出して写メを撮った。
そして再び玄弥の手元に紙を返した。
「頑張ってよね。」
「…ああ。」
玄弥は紙を受け取ると、もうチャイム鳴るからとくるりと前に向き直った。
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「(…練習、頑張ろ。)」
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とく(プロフ) - すごくいいお話でした…。涙が出るほど(笑) (7月19日 12時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
えむえいか - 貴方様は、神ですか? (2022年5月20日 16時) (レス) @page5 id: 6c61bb4c69 (このIDを非表示/違反報告)
孤 - 神作……… (2022年5月9日 15時) (レス) @page44 id: af8576bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - たまに………たまに原作を思い出すような描写があって……目から汗が……… (2021年12月5日 7時) (レス) @page50 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
夏鈴 - 炭治郎のシスコン具合がめっちゃ良かったです‼︎無一郎と有一郎がでて来るとか最高すぎます‼︎とっても良い作品ありがとうございますー! (2021年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 378955c846 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年6月13日 19時