…そうだ、番外編作っちゃおう！と思った今日この頃。【文スト】

タッチーもといミッチーもとい立原道造君・弐 ページ9

『いやー、ありがとう御座いました』


立原君は男達を文字通り瞬殺。お礼に喫茶店で奢る事に。


「あ、いえ。大丈夫ですか？えーっと…」

『暁です。暁、凪です』

「凪さん」

『この運命から私は逃れられないのか⁉』

「ええ⁉」


折角(せっかく)暁二回云ったのに！名前呼びの運命から私は逃れられないんだな！


『否、何でもないです』

「あ、そ、そうですか…」


若干引かれた気がする。


『お名前は…』

「あ、立原道造です」

『敬語、抜いてくれていいですよ、立原さん。後、呼び捨てでもいいです』

「じゃあ…凪、も、敬語抜きで…」


頬を少し赤くし乍ら云った立原君。可愛い!! 何この子、天然⁉


『じゃあ…えっと、仕事とかは？何してるの？』

「あー…公務員、かな」


…あ、そっか、猟犬だったな、確か。


『…えーと…この後、どっか行く予定ある？』

「え？あ、否、無いけど…」









と云う訳で(どう云う訳で)、現在ゲームセンターに来ております。


『ミッチー、早く！遅い！』

「ミッチーって何だよ！名前で呼べよ！」

『道造！』


名前で呼べと云ったから云ったのに、何故か口を押さえそっぽを向く立原君。


「結構、クる…」

『何が？』

「うわあお前此方見んな！」


理不尽。


『じゃーほら、UFOキャッ、チャー…』


私が何気なく見たUFOキャッチャー。そこには、アニメで鏡花ちゃんが持っていた兎の縫いぐるみがあった。


立原(もう呼び捨てでいいよね)は、ん？と云い乍ら近寄ってくる。


『ちょっ、百円貸して！早く！』

「え、え？」









そして冒頭へと至る、と云う訳だ。


「つかお前何が欲しいんだよ！そんなに俺の金使いやがって！」

『あの兎の縫いぐるみだよ！見て判んない⁉』

「何で取れねェんだよ！ちょっと貸せお前！」


渋々場所を譲ると、見事な手捌きで兎を取ってみせた立原。


『わーい！凄い立原！ありがとう！』

「べっ、別にこんくらい当然だわ！」


ぎゅーと兎を抱きしめる。ふっわふわ。鏡花ちゃんが好きになるのも判るわー。

ぴりりと立原の携帯が鳴った。


「はい、はい……判りました、大丈夫です、了解しました」


立原は少し不機嫌そうな顔をする。


「あー…悪ィ、ちと急用が入った。仕事に行かなきゃなんねェ」

『そ…、じゃ、連絡先交換しよう！』


そう云って連絡先を交換する。


「…じゃあな」

『又ねー！』


そう云うと彼は、笑って「ああ、又な」と云った。

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