特務課三人組 弐 ページ21
まずい、何が如何まずいとは云えないが兎に角まずい。
如何する、如何する?
安吾さんに逢いたくないと云えば、嘘になる。かと云って、積極的に逢いたい訳でもない。
取り敢えず此処から離れて、それから___
「……凪さん?」
終わった。
NOside
「___凪さん?」
安吾はもう一度呟いた。彼女の存在を再確認するかのように。
その場に居た、凪以外の全員が驚く。安吾はそれを無視__否、そもそも眼中に無かったのだろう。よろよろと歩いた。
何故。何故彼女が此処に。
「坂口先輩、」
護衛である村社が引き留める様に云った。だが無理矢理止めなかったのは、安吾の様子が何時もと違ったからだ。青木は無表情で安吾を見ている。
『あー……その、えーと……』
凪が場の空気に耐えられなくなったように云った。きょときょと視線を動かす。
自分が死んでいる、と安吾は思っていたのだ。つい先程まで。そんな人物に、何て云えばいい?
一方安吾は、混乱していた。否、冷静であった。二つの人格が出来たようだった。だが体は一つ、行動も一つだ。
安吾は、凪を抱き締めた。
『……え!?』
「ふむ」
「おー」
「なっ……!?」
呟きがそれぞれの口から漏れた。
安吾はきつくきつく、凪を抱き締めた。だが丁寧でもあった。壊れ物でも扱うかのように、抱き締めた。
安吾は何も云わなかった。だが安吾が云わんとしている事は凪に伝わった。
それでも、凪は何て云えばいいか判らなかった。う、とか、あ、とか、言葉にならない声が、凪の唇から出た。
だから、抱き締め返した。
「……!」
言葉に出来ないのなら、行動で示せばよい。そう考えた末の行動だった。後に凪は恥ずかしさに悶絶する事になる。
『あの、えと……、』
おずおずと口を開いた凪に、安吾は云った。
「凪さん、ですよね」
『えっ、あっ、はい!』
「生きてたんですか」
『いや、えっと、まぁ、はい』
「そうですか」
二人は無言になった。それは、この世の何よりも、暖かい静寂だった。
______________
三人組って書いたけどさ、五人組だよね……。
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白夜の世界 - 2次元大好き野郎さん» コメントありがとう御座いますッ!最高でしたか!よかった!何かちょっとリクと違うかなって思ってたんですけど……嬉しいです! (2019年7月7日 20時) (レス) id: d483191461 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き野郎 - コメント遅れてしまってすいません!まじ最高です! (2019年7月7日 10時) (レス) id: 6de8be71fd (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - オンさん» 応援ありがとう御座います……!更新頑張ります!遅いけど!出来るだけ!遅いけど! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d483191461 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ(プロフ) - 白夜の世界さん» はい!大丈夫です! (2019年7月6日 21時) (レス) id: b4cdd55349 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - わたあめさん» は、はい!難しそうですが、頑張ります!太宰さんと太宰さん(黒の時代)逢わせちゃってもいいですか? (2019年7月6日 21時) (レス) id: d483191461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年4月7日 16時