双黒が逆トリ 弐 ページ31
中也さんが買い物に出掛けてから、結構な時間が経った。
『だ、太宰さん……中也さん、遅くないですか?』
「知らなーい」
太宰さんに云っても、興味なさ気な返答が返ってくるだけ。
中也さん、如何したのかな。若しかしたら迷子になってるのかな。それとも女子高生とかに捉まってたりするのかな。
『……太宰さん、やっぱり私中也さんの事捜して来ます!』
私は立ち上がった。
そもそも、何故中也さんを一人で行かせてしまったのだろう。まあ二人を残しても私の家がぶっ壊れるだけだだったと思うが。
玄関から出ると、そこには女子高生たちが群がっているのが見えた。その中心部分に、誰かいる。
『中……!』
中也さんの名前を呼ぼうとして、慌てて止めた。云ったら絶対に騒がれる。
中也さんも私の存在に気が付いたらしく、人混みをかき分けて来る。
「凪、頼むこいつら如何にかしてくれ」
「えー!だって絶対中也さんでしょ!」
「コスの完成度高過ぎじゃない?」
怒涛の勢いで喋る女子高生達。
「だから、俺は別にコスプレなんかしてねェよ!」
中也さんが吠えるが、それにも関わらず女の子達は騒ぐ。
「彼女とかいんのー?」
「絶対いるでしょ!あ〜でもいないで欲しい!」
中也さんの額に青筋が浮かぶ。するといきなり私を抱き寄せ、額にキスをした。
『!?』
「こいつが彼女!だからとッとと帰れ!」
そう云って玄関の扉をバン!と乱暴に閉めた。
「あ〜…血管切れるかと思った…」
『いや、それにしたってキスしなくたっていいじゃないですか!』
「仕方ねェだろ、こうでもしねェとあいつら諦めそうになかったし」
すると、太宰さんが私の腕を掴んで引き寄せた。
「……随分と見せつけてくれたねえ?」
「ハッ……嫉妬かァ、太宰?」
二人がバチバチと火花を鳴らす。止めて、二人が喧嘩したら確実に家がぶっ壊れるから止めて。
『はい、お二人共ストップ!他所でやって下さいね!』
そう云って私が二人を掴んだ瞬間__。
『あ、れ?』
私達は横浜に戻って来ていた。
「どうかした、凪ちゃん?」
太宰さんが頸を傾げ訊く。まるでさっきまでの事を忘れてしまっているかの様だ。
不意に、カサッとポケットから音がした。中にメモが入っており、“御免、此方の手違いで飛ばしちゃった!彼らの記憶は消しといた!”と書かれている。
……呆れて物も云えないとは正にこの事だ、と私は思ったのだった。
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白夜の世界 - 2次元大好き野郎さん» コメントありがとう御座いますッ!最高でしたか!よかった!何かちょっとリクと違うかなって思ってたんですけど……嬉しいです! (2019年7月7日 20時) (レス) id: d483191461 (このIDを非表示/違反報告)
2次元大好き野郎 - コメント遅れてしまってすいません!まじ最高です! (2019年7月7日 10時) (レス) id: 6de8be71fd (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - オンさん» 応援ありがとう御座います……!更新頑張ります!遅いけど!出来るだけ!遅いけど! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d483191461 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ(プロフ) - 白夜の世界さん» はい!大丈夫です! (2019年7月6日 21時) (レス) id: b4cdd55349 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - わたあめさん» は、はい!難しそうですが、頑張ります!太宰さんと太宰さん(黒の時代)逢わせちゃってもいいですか? (2019年7月6日 21時) (レス) id: d483191461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年4月7日 16時