九十二 ページ42
「理由は、もうない……。経緯とかはいろいろ省いちゃうけど……。人ってすぐには変われないから……。接し方もいまいち良くわかってない……。これからもこのままでいいのかまだちょっとわかんないとこあるけど。でも、前よりはまだ……なんか、皆とおんなじみたいに話したいなって……」
「心の中が聞けて嬉しいですよ。ほら、転校生ってやたらとちやほやされるイベントがあるじゃないですか。Aさんが転校してきたときやっぱり皆ちやほやして。でもAさんやたらと距離を置きたがるから皆いろいろ言ってたんだよね。でも真相はいろいろ深いと……。きっと、大丈夫ですよ。……つまり私が何が言いたいのかって……えーと、単刀直入に言わせて貰えれば、もっと仲良くなりたいです‼」
イナホさんは立ち上がって声高に訴えかけた。
その主張は真っ直ぐに私に届く。
「家族って言葉には劣っちゃうかもしれないけど、少しでも寂しくなくなればなって……。だめ、かな？」
私は首を横に振った。
「あの、その……。迷惑……じゃない……？」
恐る恐る顔をあげる。
イナホさんの顔を見て私が言ったことは野暮なのだと思った。
一息おいて私は言葉を続ける。
今度は野暮ではない言葉を両手と共に差し出した。
「仲良く……なりたい、です……」
受け止められた両手から伝わるちょっと汗ばんでいて、でもあったかい温もりは私を不思議な気持ちにさせた。
「さ、そろそろ帰ろっか。Aちゃん」
「……うん、イナホちゃん」
少しだけ、私は普通の線に近づけたのだろうか？
このまま幸せになってしまうのだろうか？
でも今はそんなことぐだくだ考えたくなかった。
今、この瞬間。
イナホちゃんと一緒に居ることに満足感を感じていたかった。
だけど誰かと近づくに反し、現時点で離れていってしまう事実があることと理由に私はなにも気づくことはなかった。
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アミュレット - 今日も良かったです！ (2017年5月18日 20時) (
レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね！焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています！ (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年5月5日 18時
