九十三 ページ43
平日の放課後、私は家に帰ってそわそわと時計を見た。
「そんなことしている暇があるのなら場所の準備をすればいいだろう」
「ぁ、うん……そうだよね……」
オロチに言われ、私は準備に取り掛かった。
おじさんに言って借りた一室に向かった。
「ここはなんの部屋だ?」
「……空き部屋」
空き部屋と言う割には家具も配置されていてまるで誰かの部屋みたいだ。
その正体は知っているけど人が居ないという意味では空き部屋と言うのは嘘じゃなくて。
「二階から買ったの持ってきて。あと、お裁縫道具」
オロチに荷物を取りに行かせ、私は部屋に入った。
机に置かれたミシンがきちんと動くか確認をして、テーブルに置かれたハギレや裁ちばさみなどを近くに置いてあった箱へしまった。
「……」
机に置かれた2つの写真。
真っ白な二人。
その写真を伏せて置いた。
その横にあった二人の笑顔とぎこちない一人の笑顔を見て私は3年前のことを思い出した。
「……ごめんなさい」
その写真さえ伏せてしまった。
「A」
「ぇ……あ。……ありがとう。そこ置いといて……。それと……飲み物とか出した方がいいのかな」
私たちはリビングへ向かう。
するとピンポーンと、呼び鈴が鳴った。
「……はい」
恐る恐る扉を開けるとそこにはイナホちゃんとUSAピョンが立っていた。
「ちわっち‼」
「ち、ちわっち……」
よく分からないまま便乗してイナホちゃんの真似をしてみた。
「ど、どうぞ……」
イナホちゃんたちを部屋に連れてきた。
「ここはAちゃんの部屋でいいのかな?」
「イナホとは打って変わって女の子らしい部屋ダニ」
USAピョンがイナホちゃんに対して嫌味っぽく言う。
イナホちゃんはというと全く聞こえていないようで部屋のあちこち目移りばかりしていた。
「A、忘れているぞ」
そう言ってオロチはお盆にコップと麦茶のペットボトルを持って部屋に戻ってきた。
「忘れてた……ありがとう……」
お盆ごと受け取り、コップにお茶を注いでイナホちゃんたちに出した。
「どうもダニ」
「それにしても随分と特化した部屋ですな」
イナホちゃんはまた、きょろきょろと部屋を見回した。
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時