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八十一 ページ31

特に会話が交わされることもなくそのままイナホさんたちと別れた。

何かが足りない。

はっきりしないこの気持ちは一体何なのだろう。

家に返ると部屋にオロチが居た。


「……おかえり」


私は文房具店の袋を机に置いてベッドに座った。


「……どうした」


オロチが私の前に片膝を立てしゃがんだ。


「……なんでもない」


顔をそらすとオロチは突然髪に触れた。


「一体何処に行っていたんだ?」


オロチの手には木の葉があった。

たぶんおおもり山に行ったときだろう。


「オロチ……人探し順調……?」


オロチはしばらく考え込んで小さく頷いた。


「……そう」


もうすぐオロチが居なくなってしまうと分かると寂しい。


「……私、手伝いたい。良くしてくれるから私も良くしたい……」


オロチは困った顔をして私の頭を撫でた。

言ってることがおかしいんだって自分でも分かってる。

この先のことより今、近い時で一緒に居たい。


「私のことは気にするな。折角呪いが解けたんだ。少しでも早く馴染めるようになれ」


そう言ってオロチは指先で額を小突いた。


「だからそれ嫌いだってば」


ぶんぶんと頭をふった。


「……夜には戻る」


オロチは立ち上がって踵を返した。


「……待って」


私は後ろから手を回し、息が止まるほどに抱きしめた。

そうすればずっと足りなかったものが満たされていくような気がした。

幸せってこんな感じなんだっけ。

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時

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