あの子からのお誘い 御幸side ページ49
御幸side
俺はいつも通りスコアを開き、眺める。
別に友達がいないわけじゃない。見るのが好きなだけ。
そんな言い訳にも取れるようなことを思っていると不意に肩をトントン、と叩かれた。
振り返る前から香ってくる俺の好きな香水の香りで誰か見当がついた。
「何?...めい」
少しぶっきらぼうになってしまったかなと思っていたら予想通り
『そんなめんどくさそうにしないでよー!』
とツッコミがきた
「(面倒くさくないし、逆に嬉しいよ。)」
そんな本音を彼女に言えるはずもなく、出てきた言葉は少しだけ、本当に少しだけ勇気を振り絞ったセリフだった
「めいに面倒臭いとか思わないって。俺に何か用?」
“めいに”っていう部分を少しだけ強調させたつもりだったけど、超鈍感な彼女は気づかない。
それに、なぜかいっつもめいと話す時は優しい感じになる。らしい。自覚は無かったんだけ
ど倉持に「お前、めいと話す時顔緩みすぎだし、優しすぎ」って言われて気づいた。
しょうがないよなぁ、いい風に見られたいじゃん
『あのね!あのね!...今日、夜とか、暇...?暇だったら、私の部屋に来て欲しい、んだけど...』
おそるおそる、そう俺に聞いてきた。
夜、夜かぁ。夜...?夜!?
「え、夜?」
『そ、夜。ダメかなぁ...やっぱダメかぁ』
もはや自己完結しているめいを慌てて止めに入る
「ダメじゃない!行く!行くよ!」
そう言うと顔をパァっと輝かせて『ありがと!』って言うんだ。
『じゃあまたね!』
笑顔で自分の教室へ戻っていくめいを見送って、ハァーと深く息を吐いた
いやいやいやいやいや
見るからにテンションの下がっためいに焦って返事した俺も悪いけど。
夜って聞いて、一気に興奮した俺もやばいけど。
男子高校生を自分の部屋に呼ぶってどうなんだ!?
いくら超鈍感なめいでもやっていい事と悪いことがっ...!
でも待てよ...
俺は部屋に来てと言われただけで、何も俺1人とは言っていない。
それに、何をするかも言われて無い。
もしかしたらただ皆を呼んで何かゲームでもしたいだけかもしれない。
そうだ。きっとそうだ。そう思うことにしよう。無駄に期待するのは危険だ。
ちょうど納得したタイミングでチャイムがなった。
よし、これで授業に集中できるな
だと思ったのに...
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作者名:かぐや | 作成日時:2017年9月22日 17時