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「誰」
そう人の気配がする方へ呼びかける。空気がピリッと音を鳴らした。
怪しい。もしかしたら猛獣かもしれない。
Aは手元へ気を集める。金色に輝く気弾を茂みに向けた。
その時、茂みから飛び出してきた。
「ごめんね、脅かすつもりはなかったんだよ!」
少しはねた髪を揺らし、申し訳なさそうに出てきた女性はふたつの籠いっぱいに食料を詰めている。
「あたしはギネ。こんな森の中で何してんだい?」
「私はAです。ギネさんこそここで何を…?」
ギネさんはいやあね、と照れくさそうに頭をかいた。
「もしかしたら近道かもって通ってきたら、すっかり迷っちゃってね」
照れている姿がとても可愛らしかった。
「ここら辺には詳しいので商店街の方まで送っていきましょうか?」
そう言うと彼女は迷った顔をしてから頷いた。
ギネさんの持っていた籠をひとつ持ってみた。かなり重い。もうひとつも持とうと思ったが危険だと感じたのでやめておいた。
空を飛び商店街の方へ向かう。籠が風をうけてギシギシ鳴った。
「アンタは何してるんだい?」
「私は戦闘員です。まだまだですが」
へえ、と感心したように頷いた。聞けば彼女の夫も戦闘員らしい。
「最近は息子もおっきくなってきてね。あいつと子供は喧嘩ばっかりだよ。もう1人も生まれる予定なんだ」
そういうギネさんの顔はとても明るかった。いつも楽しそうに笑っている。
そんな話をしている間に商店街についた。彼女と別れるのが少し名残惜しい。
「よかったら夕食どうだい?」
そう言われた時跳ね上がりそうだった。もちろんふたつ返事をして、ギネさんについて行った。
ただいま、長らく使っていない言葉だった。ギネさんがそう言うと8ぐらいの男の子がかけてきた。私をみてギネさんの後ろに隠れてしまった。
小さなテーブルで料理を待った。手伝おうと言ったのだが、彼女は頑固だった。
男の子の名前はラディッツと言うらしい。私が戦闘員だということを教えたらすぐに打ち解けることができた。将来父親のような戦闘員になりたいと輝いた目で話してくれた。
「親父はすげー強いんだ!俺も親父みたいになるんだ」
その目は希望に満ち溢れていた。私とは大違いだ。
ラディッツとの会話の時間もだいぶ長くなってきたとき、玄関の開く音がした。
ラディッツが「親父ー!」といって走っていった。
彼の憧れる父親とは、どんな人物なのだろう。私は胸を踊らせた。
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ナ子 - 読ませていただきました!ちょこまる☆さんが書きはじめたころから見ていたので嬉しいです!ヒロインの性格がすごく好きです… (2019年1月12日 17時) (レス) id: 937195e404 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこまる☆(プロフ) - 雪華さん» コメントありがとうございます!たくっちさんについては詳しくなくて…。にわかで書いてしまうのは少し抵抗があります。いつかドラゴンボールの短編小説を作るときに、書けそうだったら書かせていただきます。リクエストありがとうございました! (2019年1月8日 6時) (レス) id: 0d261ce345 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - お願いあるんだけど良いですかな?ドラゴンボール×たくっちのまぃの恋愛短編集を作って貰いますかな?まぃが悟空達の仲間はを設定で。たくっちのまぃが知らないなら検索して調べて下さいね。 (2019年1月7日 23時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこまる☆(プロフ) - ミリアさん» お久しぶりです!!ありがとうございます、こちらこそよろしくお願いします! (2019年1月7日 14時) (レス) id: 0d261ce345 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - どうも!元森田菜々子です!新しいpcに手に入れてやっと貴方の元なりました!よろしくお願いいたします。 (2019年1月5日 11時) (レス) id: a3eeffbc62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこまる☆ | 作成日時:2018年2月22日 19時