続き。 ページ7
◆
芥川さんが太宰さんに甘える話。
♀♂
今日は生け捕りだと言われた者を殺してしまった。が、幸いその頃には収拾はつき、事は終わっていた。
「…」
黙って執務室の中の時計を眺めていた。樋口はもう帰っていて、此処にはいない。銀にも先に帰らせ、立原も同様。
独りぽつんと真っ黒な僕が時計を見ている。なんだか滑稽で笑いが込み上げてきてしまった。
__“生け捕り”
なんだかその言葉がねっとりした雰囲気を持っているように感じた。原因はきっとミミックの抗争が原因だろう。
まさにあの時が最後の折檻だった。ミミックの抗争が片付いたと思えば、太宰さんがいなくなっていたのだから。
ため息をする力すら、もう疲れて出来ない。今こんな暗い事を考えても意味が無いだろう。そうだ、先日は太宰さんと身体を…。
そこまで考えてふと思った。
__太宰さんに、会いたい…。
声が聞きたい…触れたい…。
携帯を取りだし「太宰さん」の文字を押そうとする。しかしなかなか勇気が出ない。お互いに好きだというのは分かっているものの、いつも不安になってしまうのが自分の大嫌いなところだった。
「っ…」
結局一度押したものの、すぐに終了してしまった。きっともう夜も遅いし、迷惑に違いない。
諦めて長椅子で寝てしまおうと考えたその時。
部屋に機械音が響く。それは僕の携帯からで。「太宰さん」と書かれた横文字が、やけに綺麗に見えた。
「…はい」
「あれ。芥川君、さっき電話掛けたよね?何か用事かい?」
その質問に思わず息が詰まった。貴方の声が聞きたかったから、なんて言って嫌われたら如何しようか。
しかしそんなことを考えたのは言ってからだった。
「太宰さんの声が、聞きたくなったので」
電話越しに何かを吹き出す音。はて、太宰さんは珈琲でも飲んでいたのか。
「いやあ…ちょっと…ゴメンね。芥川君、今何処にいる?私の予想では執務室」
「然り」
「今から1分で向かう。長椅子で寝てていいよ」
まさか、1分で来れるほど太宰さんの家から此処まで近くはない。それにこんな夜に…きっと見張りがまた犠牲になってしまう。
だが、明日にしてください、とは言えず「はい…」とうっとりしながら肯定してしまった。
♀♂
そのあといちゃこら太芥。
リクエストありがとうございます。
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どろっぷ - 本当に好きです!!!最高すぎます!!! (2021年10月9日 18時) (レス) @page28 id: 33730d6852 (このIDを非表示/違反報告)
雪音永遠 - 最高です。いつも影ながら応援してます!頑張ってください!(なんか上から目線ですみません) (2019年5月13日 19時) (レス) id: 0221d79259 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - シャルさん» ありがとうございます!嬉しいお言葉です…頑張ります! (2017年4月22日 1時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
シャル - 最高すぎて辛いです。はい。もうやばい)^o^( (2017年4月8日 15時) (レス) id: a82ccaf05f (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - 藤見日和さん» ありがとうございます!!続編でもよろしくお願いします!! (2017年3月26日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なかゞわとまと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TOMOTO/
作成日時:2017年2月21日 22時