太芥『氷菓子』 ページ33
◆
バニラアイスを食べるやつがれちゃんを見て変な妄想する太宰さんのお話。
100%変態思考なのはいつものことです。
♀♂♀♂
それは暑い暑い夏の日のことだった。
横浜の軍警察には頼めない厄介事を依頼として引き受ける異能組織、武装探偵社。そして横浜の政治や悉くに根を張り、港を縄張りとする凶悪組織、ポートマフィア。
互いに敵対しているこの2つの組織は今、停戦状態であった(理由は話せば長くなる)それに停戦状態とは言え、仲良くする気など毛程もない。
だが…
「太宰さん、その、これは」
「見て分からないの?氷菓子(アイス)だよ」
現在武装探偵社員、太宰治の部屋の寝台には、白いフリルシャツを纏った人物がいた。
すらりと伸びた手足は、少し力をこめれば折れそうな程に細い。そしてその病的な白さの肌色が、長い睫毛が縁取る大きい目を引き立たせている。それにこの毛先だけが白く染まった髪の毛は一番の特徴と言えるだろう。
短い前髪が、さらに彼__芥川を幼く見せた。
「これを僕に…?」
「うん。たまには悪くないだろう?」
寝台に腰かける芥川。その隣にいる太宰は嘘偽りなく幸せそうに笑っていた。氷菓子を芥川の前に差し出して優しく微笑む。きっと女性が見れば一瞬で恋に落ちてしまうだろう。
「では…いただきます」
太宰の部屋にクーラーはないが、扇風機ならある。普通なら暑くて大変だろうが、この部屋はさいわい日陰になっており、涼しい風が黙っていても入ってくるのだ(なので冬場は本当に寒い)
氷菓子を渡した太宰は変わらず微笑んでいたが、その瞳には僅かながらも押し殺した狂気があった。
(嗚呼、その溶け出した氷菓子の白さがまた私の理性を崩そうとする…)
もちろん太宰がこんなことを考えているなど微塵を思っていない芥川は気にせず食べていたのだが、氷菓子にとってこの部屋は少しばかり暑かったらしい。みるみるうちに溶けていってしまう。
(溶け出した氷菓子を必死に舐めようとするその舌。唇の端から零れる様がまた理性を崩す…。だが我慢しろ太宰、まだその時ではない)
今はまだこの様子を見て、想像して夜を過ごすのだ。…そう自分に言い聞かせる頃には、芥川の手と口は溶けた氷菓子によって白くベタベタになっていた。
やはり我慢ならぬと、そのまま寝台に押し倒す太宰の姿が締め切った筈のカーテンからちらりと見えた。
♀♂
語り手は一体誰なんでしょうか。
41人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
どろっぷ - 本当に好きです!!!最高すぎます!!! (2021年10月9日 18時) (レス) @page28 id: 33730d6852 (このIDを非表示/違反報告)
雪音永遠 - 最高です。いつも影ながら応援してます!頑張ってください!(なんか上から目線ですみません) (2019年5月13日 19時) (レス) id: 0221d79259 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - シャルさん» ありがとうございます!嬉しいお言葉です…頑張ります! (2017年4月22日 1時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
シャル - 最高すぎて辛いです。はい。もうやばい)^o^( (2017年4月8日 15時) (レス) id: a82ccaf05f (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - 藤見日和さん» ありがとうございます!!続編でもよろしくお願いします!! (2017年3月26日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なかゞわとまと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TOMOTO/
作成日時:2017年2月21日 22時