続き ページ2
◆
「あくたがわ…くん？」
何故自分がここまで睨まれるのか、分からなかった。いきなり連れてきたのが不味かったのか？などと思ったが、そんなレベルの目付きではない。
私達の間に沈黙が訪れる。どれ程そうしていたかは計り知れない。
「…すみません」
ふいに芥川君が下を向いて小刻みに震えていた。はて、彼はこんな消極的で臆病だったかな？と疑問に思ったのがバレたのか、芥川君は私に話を切り出した。
「太宰さん、話を聞いてください」
…暗黙の了解。
*
芥川君が迷いながらも選んだ言葉を理解するのに少し時間が掛かった。要するに、自分のなかにもう一人の自分がいるのだと。俗に言う、二重人格というやつだ。
しかし二重人格というのは何か衝撃的な事やあまりのショックから本能的に自分を守る手段の１つ…。彼を二重人格へと導く何かがあったのだろうか？
「君、何かショックなことでもあったのかい？それは俗に言う二重人格だ。二重人格というのは何かショックなことや…」
喉まで競りあげてきた次の言葉を飲み込んだ。思い当たる節があったからだ。
彼を二重人格へ促した発端。それは私。
私がポートマフィアからいなくなったということで酷く動揺したのだろうと口を開いてから分かった。
「…すまないね」
空は真っ暗で、先刻の夕日はどこへいったのやら。
相変わらず芥川君は下を向いたまま顔をあげようとしない。これも私に会わせる顔が無いからなのか。まさか、会わせる顔が無いのは私のほうなのに。
「芥川君、今日は泊まっていくといい」
もちろん迷惑でなければ、ね。
数少ない自分の服から適当に引っ張り出し、芥川君のほうに置く。しかし彼は黙ったままなので、流石の私も苛々してきた。
「…芥川君？」
しかし其処で明らかに芥川君の様子が可笑しいことに気づく。嗚呼、全く私という人間はまた口を開いてから己の過ちに気づいてしまう…。
まさに人間失格…か。
♀♂
一応これは長編のうちに入ります。
この作品では1話で終わるのを短編、2〜3話で終わるのを中編、それ以上を長編としています。
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どろっぷ - 本当に好きです！！！最高すぎます！！！ (2021年10月9日 18時) (
レス) @page28 id: 33730d6852 (このIDを非表示/違反報告)
雪音永遠 - 最高です。いつも影ながら応援してます！頑張ってください！（なんか上から目線ですみません） (2019年5月13日 19時) (レス) id: 0221d79259 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - シャルさん» ありがとうございます！嬉しいお言葉です…頑張ります！ (2017年4月22日 1時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
シャル - 最高すぎて辛いです。はい。もうやばい)^o^( (2017年4月8日 15時) (レス) id: a82ccaf05f (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - 藤見日和さん» ありがとうございます！！続編でもよろしくお願いします！！ (2017年3月26日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なかゞわとまと | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TOMOTO/
作成日時：2017年2月21日 22時
