22話 ページ22
簡潔にまとめるとこうだった。
小さい頃から気を掛けてくれてたお婆さんに彼女はそろそろできたかって聞かれた冨岡君。ここでできていないと言ったら心配されるかもしれないと思って反射的に頷いてしまったらしい。
そうしたらお婆さんは喜んで今度家に連れてきなさいな、という話になったらしい。
冨岡君、ここで引き下がれなくなり思いついたのが私を連れて来るということだった、らしい。
「……それ、なんで先に言わないの…。」
「……すまない。」
冨岡君は申し訳なさそうにしょんぼりして私に謝った。
そんな顔しないでよ。私が悪いことしてるみたいじゃんか。
「……なら、付き合うか?」
「ううん、遠慮しとくね。」
若干ズレた言葉に瞬速でお断りの言葉を挟む。
ああ冨岡君、またしょんぼりしちゃった。そんな顔しないでよ。
「うん…まあ、うん…。今回は許してあげる…。」
これ以上冨岡君を追求しても何も起こらないと思い仕方なく許してあげた。次やったら許さない。
冨岡君は嬉しそうに顔を上げて目を輝かせていた。
心做しか耳と思いっきり振られている尻尾が見えてくる気がした。やっぱ冨岡君の前世犬だね。
.
「あら、義勇?」
それから冨岡君と一緒に家路についていたら後ろからそんな声が聞こえてきた。
振り返るとそこにはめちゃくちゃ美人さんが立っていた。うわぁ、綺麗な人。
「姉さん、今帰りか?」
どうやらこの美人さんは冨岡君のお姉さんらしい。
お姉さんはそうよ、と言うと視線を私に移してきた。
「も、もしかして…義勇の彼女…!?」
んんんなんか既視感があるなぁ。
前にも同じようなこと言われたなぁ。
「いや違います。」
私は誤解を生む前にきちんとした情報を提供しないといけないという使命感に駆られ早口でこう言った。
瞬時に誤解を解くと冨岡君はちょっと悲しげな表情で私を見た。なんでそんな顔するのさ。
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aya(プロフ) - ラストに向けた展開に心揺さぶられました! (2021年6月8日 2時) (レス) id: 72cb3c8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
かすたーど - ヤバっ!トリハダたちました…! (2021年5月16日 13時) (レス) id: 328ef4fff0 (このIDを非表示/違反報告)
巴 - 学園祭のお話がすごーく良かったです!高校時代に戻りたくなっちゃった。茶道部だったから不死川さんにお茶点てて差し 上げたいわ〜。 (2021年3月14日 0時) (レス) id: 7c1fbdaf37 (このIDを非表示/違反報告)
くれ - めっちゃ面白いです (2021年1月2日 17時) (レス) id: f26c98ad88 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の水道水(プロフ) - いやなんかw主人公の実況が好きすぎてw (2020年11月18日 7時) (レス) id: 44bf365a1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月11日 23時