毒と本音 [msmgn] #req. ページ1
Setting = 年下彼女 (岡北 先輩後輩)
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「で? どうなのカレとは」
「どうって…何もない、けど」
アイスカフェラテの黒いストローに口を付けて吸い込むと、空を切ったようにズココと音を立てる。
そう、何もないんだ。
自分で言ってて虚しくなるくらいには
付き合い始めて約半年。
不満はないけど思ってた通り…いや思ってた以上に太紀さんはクールで。
岡崎を拠点に動く大人気YouTuberと、名古屋にある普通の会社で働くOLじゃスケジュールなんてとても合わない。
デートも数えられる程しかしたことがないし、何だかんだと会いに行くのは太紀さん不足に陥った私から。
「……好きとか 久々に聞きたいなぁ」
はあ、と小さくため息を漏らすと同僚は呆れた様な表情だ。
一週間前も同じこと言ってるし、そりゃそんな反応にもなるかぁと虚しく苦笑いするしかなかった。
「でもAから連絡しなくなって今日で10日でしょ?」
「…うん」
「そろそろあっちが痺れ切らさないと 他の男に乗り換えてもおかしくないよ」
まあAはしないだろうけどさ、と付け足しながら笑ってる同僚の顔は何だかんだ私を心配するような優しい顔をしていて。
じわりと涙が滲みそうになった。
「……とりあえず、今日金曜だし 日曜まで待ってみるよ。」
頭をぽんと撫でられて、連絡くるといいねと励ましてくれる同僚と 午後の仕事も頑張ろう〜と気合を入れ直した。
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「うわ、もう10時過ぎとる」
華金だと言うのに仕事に追われてた私は気付いたら夜の10時を過ぎていたようだ。
キリのいい所で荷物をまとめて会社を飛び出す。
携帯をちらっと確認しても、何も代わり映えはなかった。
今日も一人で虚しい夜を過ごすのかぁ
なんて。
寂しさで胸がいっぱいになった。
酔っ払いや仕事帰りの人で電車は超満員、やっとの思いで帰路に着いた。
…ツイてない時ってとことんそうなんだなと気付いたのは名古屋から二駅過ぎた時だ。
前にも後ろにも人がいっぱいいて、お尻の辺りに軽く当たるくらいだったものは意志をもってそこにいるらしい。
……頭だけは急に冷静になる。
痴漢だ。
じわじわと心が殺されるような気持ちに押し潰されてぎゅっと目を瞑る。
数分耐える内にいつの間にか痴漢らしき手は取り除かれてほっとしたのも束の間。駅に到着した瞬間腕を掴まれて降ろされる。
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遊馬(プロフ) - ゆさん» 長い間ご愛読頂き有難うございました!ひとつひとつ時間をかけて生み出したお話を気に入って頂けてとても嬉しいです。またお時間ある時に読み返して頂けたら嬉しく思います…!どうぞこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月2日 2時) (レス) id: fccb4604d0 (このIDを非表示/違反報告)
遊馬(プロフ) - 怜さん» 長い間ご愛読頂き有難うございました!初期の方は見返すと小っ恥ずかしい気持ちになりますが、どのお話も気に入って頂けて作者冥利に尽きます…。これからもどうぞ作品共々よろしくお願いします! (2020年2月2日 2時) (レス) id: fccb4604d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 完結お疲れ様でした!どの話もとても楽しく読ませて頂きました、、!終わってしまうのはとても悲しいですが、さらにまた読み返そうと思います!新作がもし出来たらすぐに読みに行きます!! (2020年1月31日 21時) (レス) id: 2e60baebd0 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 完結おめでとうございます!どのお話もとっても好きで、3作ともたまに読み返しています…他の作品の更新も頑張ってください〜! (2020年1月31日 21時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Flower 328(プロフ) - リクエストありがとうございました♪甘々で溶けました…… (2019年12月6日 9時) (レス) id: 34909526e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊馬 | 作成日時:2019年7月5日 23時