太芥『見た目によらず』 ページ36
◆
パロ。太宰さん兎耳、芥川さんおおかみの耳。&尻尾
♀♂
数日間何も食べていないことに気づいた芥川は、空腹を感じていた。そう言えば、最近丁度良い獲物を見かけないな、と辺りと歩いている。
「…?」
しかし鼻のきく芥川は、ここから数米(メートル)離れた所に何かいると分かった。臭いからして、小動物だろうか。
息を殺して、その獲物の姿を見える位置まで移動した。成る程、兎か…悪くない、と知らずのうちに唾を飲み込んだ芥川。
目にも止まらぬ速さで兎へと噛みついた。
……筈だった。
「おや、危ない危ない」
兎は軽々と避け、芥川の首根っこをつかんだ。当然猫では無いので芥川はそいつをキッと睨んだが、そんなもの怖くないというように兎は笑った。
「君は獲物を獲るのが下手だね」
「貴様は」
「私?太宰。太宰治だ。君はパっと見、女の子だけど声の低さからして男だね」
がっかりだ、と言わんばかりに太宰は首根っこを掴む手を離し、芥川を地面に叩きつけた。
小さく芥川が唸り、太宰はくすりと笑う。
「君、名前は?」
「……芥川、龍之介」
「龍!?狼なのに!?こりゃ傑作だ!」
太宰が腹を抱えて笑うので、芥川は居心地悪そうに眉間に皺を寄せ、その場を離れようとした。が、また太宰に引っ張られ、今度はすっぽりと腕の中にいる。
「なっ、貴様…!」
「…付き合ってくれたら、君の食事を毎日用意してあげよう」
「………」
芥川は突然のことに戸惑い、何をどう喋れば良いかわからない。
__とにかくこの男の言うようにすれば毎日食事を獲ることが出来るのか。
疑う、という概念の少ない芥川はただ太宰の言ったことにうなずいた。
「よし、じゃあ決まりだね。君は今日から私の恋人って訳か」
「恋人…!?」
「え、だって“付き合ってくれたら”って言ったろう?」
芥川はしてやられた、と思った。今しがた会ったばかりの兎ごときに一杯食わされた。
「先刻の話は無しだ。僕は失礼する」
「まあまあ、そんなこと言わずに私の家に寄って?ね。君に一目惚れしたんだ」
芥川の動きが一瞬停止した。太宰はその隙を見逃さず、芥川を抱き上げた。暴れていないのは、尻尾の根本を捕まれているからだろう。
芥川が、太宰さんと呼び、敬語を使うのは太宰が先に手を出したからと言っても否めないと本人は言っている。
♀♂
リスクエストありがとうございました
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なかゞわとまと - あくたん`∀´さん» ですよね、わたくしもナンパとか日常茶飯事だと思います(( コメントありがとうございます!続編も頑張ります! (2017年4月22日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
あくたん`∀´ - ふおおおおおおお!!やつがれ!やつがれちゃああああんっ!!…すみません、取り乱しました。書いていただきありがとうございます!やつがれちゃんは美人だからしょっちゅうナンパとかされてますよね!!← (2017年4月22日 9時) (レス) id: b724a19623 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - 桐宮さん» はい分かります。可愛すぎますよね、あの二人は探偵社とポートマフィアの天使だとわたくしは思ってます。 (2017年4月21日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - あくたん`∀´さん» リクエストありがとうございます!モブ芥で、太宰さんと中也さんが助ける最高に最ッ高な感じのお話ですね、分かりました!(( (2017年4月21日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - 7×7さん» いえいえ!またリクエストお願いします!掲載は続編のほうになると思いますが…(( (2017年4月21日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なかゞわとまと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TOMOTO/
作成日時:2017年3月26日 23時