続き。 ページ26
文字なんてほとんど書いたことがなかったから、少々苦戦したが楽しいと思えた。自分の書いた文章の中での太宰さんはとても面白くて、一緒にいて楽しくて、優しかった。
あれ以来、暴言を吐かれてもやはり辛かったが自分の安らぎの場所を見つけられ以前より体調が良くなった気がする。
毎日毎日書き続けた。寝る間も惜しんで、太宰さんと僕の理想の関係を。
だがある日。いつものように折檻を受けふらふらと自室へ向かっていた時のことだった。
突如揺れる視界に、鈍器で頭を殴られたような感覚。歩き出した足と共に前へと倒れた。
**
芥川さんが倒れました、と報告を受け、彼の自室へ向かった。始めに発見したのは最悪なことに中也だったが、他の構成員よりだったらマシだと思う。
応急処置はした、ただの風邪だぞ、と目も合わせずに行った中也を無視して部屋へと歩き出す。まさか、風邪?咳をするのもいつものことだし、特に鼻水が出ている様子もなかったから、気づかなかった。
「…入るよ」
扉を開け部屋に入ってからそう行った。案の定芥川君は寝台で苦しそうに寝ていた。
と、部屋の違和感に気づいた。…なんだろう?この部屋、何かがおかしい。
しばらく立ち尽くして考えていると、ようやく答えが導き出せた。
芥川君の私物はほとんどないのに、机の上が散らかっているのだ。ノートが幾つか散乱していて鉛筆やらシャーベンやらが転がっている(私の執務室も自室もそんな感じ)
「……なにこれ」
そして開きっぱなしだったノートを覗いてみた私は絶句した。
”_____蝶々はいつの間にかいなくなっていた。太宰は口を開いた。
「私はね、君が„
途中で切られていた文章。太宰という文字と字体。完全に、芥川君のものだった。
試しに一番最初に書いたであろうノートをめくった。先刻とはうって代わり、字は汚い。
ノートは合計3冊あった。その全てが繋がった物語。…物語の内容はこうだった。
太宰と芥川が森の奥の一軒家で暮らし、日々を過ごしていく。その中に出てくる太宰はとても気さくで優しい人で、芥川にいつも笑って接してくれる。
読んでいて、とても腹立たしいような、悲しいような、悔しいような、複雑な気持ちになった。
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なかゞわとまと - あくたん`∀´さん» ですよね、わたくしもナンパとか日常茶飯事だと思います(( コメントありがとうございます!続編も頑張ります! (2017年4月22日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
あくたん`∀´ - ふおおおおおおお!!やつがれ!やつがれちゃああああんっ!!…すみません、取り乱しました。書いていただきありがとうございます!やつがれちゃんは美人だからしょっちゅうナンパとかされてますよね!!← (2017年4月22日 9時) (レス) id: b724a19623 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - 桐宮さん» はい分かります。可愛すぎますよね、あの二人は探偵社とポートマフィアの天使だとわたくしは思ってます。 (2017年4月21日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - あくたん`∀´さん» リクエストありがとうございます!モブ芥で、太宰さんと中也さんが助ける最高に最ッ高な感じのお話ですね、分かりました!(( (2017年4月21日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - 7×7さん» いえいえ!またリクエストお願いします!掲載は続編のほうになると思いますが…(( (2017年4月21日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なかゞわとまと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TOMOTO/
作成日時:2017年3月26日 23時