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sacrifice〜9 ページ13

一体どこから説明すべきか。




海が赤くなった理由そのものは、私も知らない。




ただ、セカンドインパクトが原因なのはわかっていた。




『Q.セカンドインパクトをどう説明すべきか。』



こうするしかない。




「ママが生まれるちょっと昔、私たち人間は神様を怒らせてしまったの。」



「にん…げんが?」



「そう。神様は大層怒った。だから、青かった海が無くなってしまったのよ?」



「他には?」



「うーん、例えば、今の季節はなに?」



「夏じゃないの?」



「その通り。ママだって夏しか経験したことはないわ。」




私は夏以外の季節についての資料を見たことがある。




だから想像はしやすい。




キィにとって理解しやすいかは分からない。




夏よりもっと美しかった古の季節のことを。




「でもねキィ。
キィのおばあさんがママに教えてくれたの。
昔はね、桜っていう花が咲く春と、木の葉っぱが赤くなる秋と、雪っていうふわふわしたものが降る冬っていう季節があったんだって。
凄く綺麗だったそうよ。」



こう説明するしか。



思った通り、キィは信じられないような顔をして首を傾げた。



「へえ。そうなんだ。
でも何が何だかよくわかんないや。」



そう言ってキィはくしゃくしゃの笑顔を私にして見せた。



時の流れは止まらない。



なにも知らないこの子達が、いつか隠された鍵を見つけるのだろうか。



じっとキィを見つめて、やっぱり可愛い娘だと思って、頭を撫でた。



そしてそっと抱きしめる。



「キィ。キィはね、ママの希望。
ママが知らないことも、あなたに知ってほしいの。
だからねキィ。生きて。何があっても。」



「うん。わかった。キィ頑張る」



その答えを聞いた瞬間、涙がどっと溢れ出した。



もうこの子と会えなくなる日が近づいているような気がした。



娘の温もりに縋りたくなった自分がここにいる。

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茉莉 - めっちゃ最高です!更新楽しみです!頑張ってください((๑•̀ㅂ•́)وガンハバレ~!!! (7月30日 19時) (レス) id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
kaori - 続きがテニスの王子様めっちゃ気になります! (6月22日 19時) (レス) id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
kaori - 読みました! (6月22日 19時) (レス) @page36 id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
かずほ(プロフ) - 初めまして!昨日、シンエヴァ見に行って再び エヴァ 火付いてしまいましたw カヲルくんのとこ泣きました! こちらの夢小説シリーズ読ませて頂きました!更新楽しみにしてます! (2021年3月19日 19時) (レス) id: 4ea2670edc (このIDを非表示/違反報告)
RUKA(プロフ) - 長々とコメントを書いてしまい、ごめんなさい。続きがとても気になります。更新頑張ってください。 (2021年1月30日 9時) (レス) id: 4977de0b73 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅坂紅子 | 作成日時:2016年2月14日 1時

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