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『できた！』
そう君が言った事で我に返った俺は
君が握る自分の左手に目をやった。
『おそろい！』
「…うわぁ……！」
そこには君と同じように左手首に結ばれた黄色い丸い花。
君の花は触れないけれど、これは自分だけの花。
そのフワフワした花びらをそっと撫でた。
匂いを嗅いでみたり
色んな方向から見てみたり。
丁寧に結ばれている茎は黄色い花とは対照的に真緑だった。
『ええかおりやろ？』
「うん！」
この時の香りは、きっと、たんぽぽと君の香り。
優しくて
可愛い
春の香り。
『これ、あしたにはかれてまうから。きょうだけね？』
「え、そうなん？…いやや。」
『そういうもんやねん。せやからこれは、きょうのおまもり。』
「きょうの？」
『きょう、たのしいいちにちになるように、おまもり。』
こんなに可愛くて綺麗なものが一日限定なんて、
すごく寂しかった。
でも、君はどちらかというと嬉しそうやったな？
"期間限定"とかに弱いタイプやろ？笑
「わかった。あしたはあたらしいのつける。」
『うん。そうしような。』
「あしたも、むすんでくれへん？」
『うん。ええよ。』
「おれ、こたきのぞむ！よろしくな！」
『…のぞむくん。よろしくね。』
あの日、滑り台で転けなければ
それを君が見ていなければ
周りに沢山人がいれば
君の事をこれまでも好きになる事はなかったのかもしれない。
そう思うと、あの日滑り台で転けた自分を褒めたたえてやりたいわ。
たんぽぽの花は強く根を張って綺麗な丸を咲かせる。
コンクリートにも打ち勝つんやで？
君もそうやって信じとるで。
あの花、ほんまにどこにでも咲いとるよな。
どこから来たん？って思う所にもひょっこり顔を出す。
そんな花を見る度に君の事を思い出す俺の事、君はアホやなぁって笑ってくれるかな。
なぁ。
あの花はすぐに見つかるのに、
世界でたった1人の君を見つけるのはこんなにも大変なんやな。
たんぽぽみたいにさ、
すぐ近くに居ってくれたらええのに。
小暮Aさん。
君のことを忘れられない憐れな男の、長くて短いお話。
まぁ、そこらに転がるただの恋愛話だと思って、聞いてくれよ。
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#TODAY(プロフ) - みりんさん» ありがとうございます！春風のように優しくて暖かいお話になるように頑張ったのでそう言って貰えてとても嬉しいです！！ (2022年1月11日 12時) (
レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - 素敵なお話で心があったまりました♡違うお話も読ませていただきます(*^^*) (2022年1月11日 0時) (レス) @page46 id: 57a21b061a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#TODAY | 作成日時：2021年7月30日 23時
