95.瞳の中のGalaxy...sideO ページ5
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智「到着！」
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『…家に帰ったら、抱き締めてもらってもいいですか？』
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そう言われた時は胸が高鳴った。
変な気持ちがぞわぞわと湧き出るような感覚だった。
部屋に入ってすぐに抱きしめるつもりでいた。
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「…やだなー」
智「まだ言ってんの？」笑
「だって汚いですもん」
智「Aちゃんのすべてを受け入れるつもりで来たんだけど？」
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自動ドアのロックを開けてもらって、エレベーターに向かう。
ちょこちょこと着いてくるキミが愛おしくてたまらない。
コートのポッケに手を突っ込むと冷えきったカイロが入ってる。
今日は大寒波、なんていうからカイロ用意したけどそこまで役に立たなかったんだっけ。
彼女のほうが温かかった、なんて大袈裟かな。
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「...どうぞ」
智「お邪魔します。…いや普通に綺麗だし。」
「…汚いですってば」
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ふーん、って思いながらすたすたとリビングに入る。
…あ、忘れてた。
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智「Aちゃん」
「はい？」
智「おいで。」
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仕事のバッグを自分の部屋に置いてきてるらしく、姿が見えない。
上に羽織ってたコートを脱いでいて、俺も脱いどきゃよかったと思うのは少し先。
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「…あ」
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両手を大きく広げてる俺のアクションを見て、やることをきみはきっと理解している。
きみから求めてきたんだから、…わかるでしょ？
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智「抱きしめてほしいんじゃないの？」
「...ありがとうございます」
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俺の首元くらいの身長。
肩のとこに顎を乗せて、細い腕を俺の背中に回す。
顎を乗せるのが疲れてきたみたいで俺の胸のとこに顔を埋め始める。
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ぽんぽんと背中を撫でると、ほとんどの体重を俺に委ね始めてくるのが分かる。
そんな重さは苦ではない。
寧ろ幸せである。
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目を細めて、愛おしいものを見るようにきみの頭部を見て
頭のてっぺんに唇を寄せた。
彼女が気に入ってるらしいシャンプーの匂いがふわりと密かに香って心が浮つく。
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重ねてた体をゆっくりと離すと、挑発的な上目遣いが俺に飛んでくる。
…その瞳には何が映ってるかと言ったら、
切なげにきみを見つめる俺がいて、
でも、その隣には俺ではない人が立っていること、
…昔から、そうだった。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2017年12月13日 22時
