126.二人でやり直そう。また春から。 ページ36
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和也『櫻井Aって言うのー？』
『ハイ...』
和也『Aって呼ぶね。』
『ヨロシクオネガイシマス...』
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ド緊張で迎えたあなたとの出会い。
最初はデスクが近くて、ってのがきっかけ。
今は遠いんだけどね。
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和也『遊園地行かない？』
『え？』
和也『嫌なの？』
『いや...、嫌なわけじゃ...』
和也『じゃあ明日行こうね』
『あした！？無理！無理無理！』
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明日遊園地行こう、なんていきなり言われたり。
...その遊園地の観覧車で告られて付き合った、なんて。
それから6年。
いい感じのなんとも言えない関係を保ち続けて
その関係が一年前に終わった。
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終わったはずなのにあっちから無駄に言い寄って来て
...吹っ切ろうって思ってたのに吹っ切れなかった。
そんなもやもやが続いてた。
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和也「A」
「...」
和也「やっっと会えた」
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ふっ、と振り返るとそこにはムカツク笑顔を振り撒いてるカズがいた。
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和也「おーのと別れたんだってねー」
「別れました」
和也「今頃、大野泣いてるよ」
「...そうですかね」
和也「あなたが笑えばもっと泣く。おーのはあなたが俺と幸せになることを願ってる。」
「...はい」
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ふと近くにある木を見つめる。
葉は落ちきって木枯らしが吹く。
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別れた頃は桜の吹く春日和だったのに
気づけばもう冬。
私の1年は大野さんで彩られていた。
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和也「...ねA｣
「...」
和也「やり直そうか。」
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なにこの優しい笑い方。
って思うくらい優しく優しく微笑んでいた。
...それは、どことなく大野さんに似ていた気がした。
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目を細めてあなたを見つめて
...大野さんの素敵な人を見つけたんだという言葉を思い出す。
...そうだ、大野さんも幸せにさせるべき人を見つけたんだ。
...ならわたしも、この人に幸せにしてもらうんだ。
大野さんができなかったことをこの人にしてもらうんだ。
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「...戻す？」
和也「え？」
「より戻すのかって聞いてんの！」
和也「戻そっか」
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にんまりと笑うそれをみてた。
懐かしく思った。
優しさで溢れてた。
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じゃあまずゲームをAの家に置いてからー。
...なんて言ってるあなたを見つめて。
大野さんを思い出して、また泣きそうになるんだ。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2017年12月13日 22時
