111.二宮和也を目の前にして ページ21
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「おはようございます」
サキ「おはようございます！Aさん！」
「おはようサキちゃん」
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柔らかい陽光が差していた。
...でもそんな景色は何方かと言えばあまり好きじゃない。
というか嫌いだ。
この会社の風景が嫌い。
この会社に入れば嫌でも入ってしまうのが二宮和也という存在。
その人さえいなければ、暖かくて柔らかくて...そんな優しい気持ちに包まれるはずなのに、
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(なんでサキちゃんの丁度後ろにいるんだろう)
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わざわざサキちゃんの後ろにいて、
わざわざ私の視界に入るようなところにいて、
...私からしたら、いい邪魔よ？
そんな私の気持ちはガン無視して、ひとりパズルゲームして、
...あなたは悠々としている。
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社員はみんなパソコンに向かう。
無機質なカチカチという音だけが響く。
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△「櫻井」
「あ、はい！」
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そんな中だ。よくしてもらってる上司に呼ばれる。
椅子をグルンと回して立ち上がる。
上司のデスクの前に立つと、その人はニッコリと私に微笑む。
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△「この全部の資料を資料室から持って来て、コピーしてくれないか？」
「え、私がですか？」
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いつもは部下がやる仕事だ。
...なんで私が。
そんな文句を心に持ちながら、はい、と資料番号の書かれた紙を受け取る。
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(めんどくさいなぁ)
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廊下を歩いて一番奥にある資料室に入る。
あんまり使われない場所で、電気は消されており窓は特にない。
言うなれば真っ暗だ。
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「...え」
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いつもは、真っ暗のはずなんだ。
でも、今日だけは着いていた。
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和也「おっそいなぁ」
「え...」
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いるとは思えなかった男がいた。
なぜか、いた。
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和也「歩くの遅くない？」
「...」
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ダメ、ダメ、...心揺らいじゃダメ。
心臓がドキドキするなんてそんなのおかしいわ。
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和也「久しぶり」
「久しぶり...」
和也「資料、取んなくていいの？」
「なんで...」
和也「ん？」
「なんであなたはここにいるの？」
和也「っあー、仕事抜け出してきた」
「え？」
和也「その前に、きみの上司にこれを櫻井に頼んでってちょちょいと嘘ついた。」
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拳が出そうになるところを抑える。
資料室、出たい。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2017年12月13日 22時
