93.Sugar ページ3
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あれから、カズをどうにか振り切って昼休みが早く終わることを願って。
…めくるめくように時は流れて、5時の定時の時間。
大野さんにひとつ連絡を入れてスマホをカバンにしまう。
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気づけばこんなにも暗くなってる外が、「もう冬なんだ」と感づかせる。
荷物をまとめてる間スマホが震え始めたから、
大野さんからだと秒で判断した。
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荷物まとめを中断してスマホを確認すると
「俺もいま仕事終わりましたー。上司に捕まんなくて良かったよ。今から迎えにいくね」
というメッセージと共に意味のわからないキャラクターがグッドしてるスタンプが送られる。
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自然に頬が緩み始めて、「いけないいけない」となるのがオチ。
「ぶっ飛ばしてきたからもうついたよー」というメッセージが来て急いでオフィスを駆け下りる。
時折転びそうになって、うっわ！ってなるんだけどそれも気にかからないくらい急ぐ急ぐ。
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社員証をかざして自動ドアをくぐり抜けて
黒い車の前に駆け寄る。
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智「そんな急ぐもん？」笑
「疲れました」
智「だろうね！」笑
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当たり前のように助手席に座らせてもらって、
大野さんの匂いがする車の匂いをすぅ、と吸う。
今日はAちゃんのうちでも行く？なんて突然言うから
汚いですよって言い返す。
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智「別にいいよ。一緒に片付ければいい話だし」
「ええ…」
智「住所言ってー」
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しどろもどろになりながら住所を言う。
カーナビのナビゲーションが始まって、私の家の方面に向かう。
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大野さんはずっと鼻歌口ずさんでゴキゲンだし。
羨ましいよその余裕が。
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「あの、」
智「ん？」
「大野さんの家に変更ってできないですか？」
智「今更出来ないだろうがー」笑
「ですよね...」
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でも、赤信号で止まった時にこっちを見て
不意に目が合った時は意味わからないくらいにドキドキした。
その間は二人は何も喋らなくて、ただただ見つめ合う時間。
激甘。甘すぎる。
反吐が出る。
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智「…あー、キスしてぇ」
「えっ。そんなド直球に」笑
智「家に帰ったらどうなるかな」笑
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何も言い返せない。
甘々の砂糖を降り注がれてる感覚。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2017年12月13日 22時
