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気付かないフリをしても/風間蒼也 ページ5

「言わないよ」

彼女はそういった後、静かに笑ったのだ

何も口に出さなかったが、言いたいことは分かっていたのだろう。例え口にしていてもはぐらかされるのは目に見えていた

例えば。そこから先はいつまで経っても言えなかった。言おうとする度にお前は苦笑いを零すものだから俺は声に出したくても出す事はなく、出かかった言の葉は喉元で消えるのだ

お前があいつの事を諦められたら

そう言った所で何も解決しないのは、俺も充分理解していた
だけど少し。僅か少しの期待くらいさせてくれたって良いだろう

あいつらは両片思いと言われる奴であった。客観的に見れば明らかに思いあっている癖して本人達は気付いていないと言うなんともまあもどかしい関係。
今まで幾度も相談された、報告された。
なんの当てつけだと思った。
こちらは好意を抱いていると言うのに、何が楽しくて相談に乗らなきゃいけないのか。
そう思いつつも毎回断れずに聞いてしまう俺も大概世話焼きだと思う
惚れた弱みも混ざっているから、彼女の頼みは断れない

恥ずかしげに頬を赤く染めて話す彼女の瞳に俺は映っていなかった
それを見て毎回胸が酷く痛む、痛みに気付かないふりをして彼女の話に耳を傾ける
気付かないふりをした痛みに、慣れてしまったのも、それもまた気のせいにするのだ。

例えそれが、無駄なあがきだと知っていても、少しでも可能性があるならそれに懸けたくなる
なんて、らしくもないな、と一人で笑った


空が蒼い日だった、そんな日に、あいつと迅は付き合う事になった。
報告に来たあいつは、「風間!」と明るく俺の名を呼んだ
続けた言葉は「迅と付き合う事になった」
いつかはこうなると分かっていた、あいつを一番の笑顔に出来るのは迅しかいないと、分かっていた。

いつだって、彼女の笑顔の先には迅がいるのだ



そんな事実に、無視した胸が酷く痛んだ

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設定タグ:ワールドトリガー , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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クロノト(プロフ) - ごめん犬飼アンタは一度くたばれ (2022年11月4日 19時) (レス) @page10 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
どろっぷ - おもしろかったです。 (2021年3月1日 21時) (レス) id: dcfe57966e (このIDを非表示/違反報告)
- もう、みんなかっこよすぎて・・・!リクエストで荒船さんもう一つおねがいします! (2019年1月14日 2時) (レス) id: f5704f71f2 (このIDを非表示/違反報告)
千夜(プロフ) - 2度に渡ってのコメントですみません…!もし可能でしたら二宮さん読んでみたいです!出来れば爽やかな感じのものをお願いしたいです。無理のない範囲で更新頑張って下さいね、これからも楽しみにしてます。 (2017年5月22日 18時) (レス) id: ac9a6d5f45 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん(プロフ) - 迅、さんっ!!!をお願いしたいです。こう、ハッピーエンドが見たいです。 (2017年5月22日 17時) (レス) id: b15935eff1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゅーくりーむ。
作成日時:2017年5月1日 21時

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