【WT】あまくてつらくてくるしくて。【短編集】

恋って言うのは甘いらしい/出水公平 ページ3

「ねえねえちょっと相談なんだけど米屋！！」
「あーはいはい、今度はなんですか…」

2月、未だ肌寒い日々は続くけれど少しずつ春が訪れてくる、そんな季節

＿女子にとっての大イベント、バレンタインと言うものもありまして。

付き合って3年、毎年何かしら作って渡してきた
だがしかし毎年作るものに困ってしまう、なので毎年米屋に相談するのだ

認めたくは無いがあいつはそれなりにモテる、そしてそれなりにチョコを貰うのも見てきた
…勿論、告白されるのも

まああいつ私にべた惚れだし、だしね？断ってたよ、断ってたんだけど


「どうにも不安なんだよ米屋ー…」
「それ本人に言ってやれよ」
「無理無理無理、だってなんかかっこわるいじゃんか」
「知るかよ…」
米屋はこの時期少し呆れ気味だ、他の女子からも色々聞かれたりするらしい。
彼女いるよ！！とか色々思ってるけど言える筈も無く、毎年許してしまうのだ
つくづく馬鹿だと思う。

「だってあいつモテるじゃん…いちいち妬いてたらキリないんだよ…」
「おー」
「弾バカで天才でトリオン量多くて合成弾とか作っちゃうしかっこいいし強いし…」
「べた惚れかよ」
「当たり前」

ぼんやり外を眺める
通学路を歩く女子達は何時もよりなんだか可愛く見える

「あー…何にしよう」
「今まで何渡したんだよ」
「ガトーショコラ、カヌレ、バウンドケーキ」
「待て待て、俺らより豪華じゃ無い？」
「当然でしょ、好きなんだから」

毎年色んな隊に配って回っている

だけどもやっぱり好きな人には別に作りたくて毎年違うものを渡している。
因みに今年はアイジングクッキーの予定



「なあ、これみてみ」
「ん？」

そこにはバレンタインのお菓子に込められた意味と言う記事が。

「これとか、良くないか？」

「…よっしゃ、これにする！！

ありがと、米屋！」
「おう、お礼はチーズタルトな」
「おっしゃ作ったるわ、期待しとけよ」
「おう」

材料を買う為、米屋に別れを告げる

今から楽しみで仕方が無い、作るのは初めてでは無いからレシピも一通り頭に入っている

「何味にしようかなー…」

あいつの事を考えてるときは少しだけ女の子に近づく気がするんだ

なんて、本人には絶対教えてあげないけど。

2→←その愛はきっと/迅悠一

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す