story28*プレゼント ページ32
.
自分ではどうやっても出せない味を賞味し、幸せな気持ちで店を出た私と太宰さん。
気づけば(と云っても、まだお昼を食べただけだ。)時刻は午後2時。
もともと家を出たのが遅かったので、あまり長くは遊べないようだった。
「次どこ行きましょうか?」
「行きたい場所ある?無いなら私が行きたい場所について来てもらうけど」
何気ない質問に返ってきた答えは、私にとって素晴らしい申し出だった。
遠慮ではなく、本当に行きたい場所が無いんだ。
そもそもデートのいろはがわからない私が、正しいデートスポットを知っているはずが無い。
私は喜んで太宰さんにくっついて行くことに決めた。
……………のに。
「太宰さん、ここって…」
「ん?服屋だよ?」
到着した先は、なぜか女性物の服を売っている店だった。その瞬間、ちょいちょいあった私の混乱はマックスになる。
ピン、と閃いた。
太宰さんに『女物の服を見るのが趣味なんですか?』と聞こうとして振り返れば、彼は怖い顔をしていた。
「んなわけ無いでしょ。君とうとう頭いかれた?」
「す、すみません……」
何も云ってないのに反論された。
しかし、謝ったらすぐにため息をついてから説明してくれた。
それは私にとって、妙に気恥ずかしく、そしてそれ以上に最高の幸福であること。
「いつも家事とかご飯とか、お世話になってるからね。プレゼントだよ。」
「……え?私、に ?」
「君以外に誰がいるのさ。ほら、選びなよ。」
そんなの悪いです、という言葉が喉まで出かけて、慌てて引っ込ませた。
ここは太宰さんの好意に甘えておこう、という気持ちになれたのだ。
何より、建前を作る前に太宰さんの思いが嬉しくて、飛び跳ねて喜びたいくらいだった。
「ありがとうございます、太宰さん!」
私は、満面の笑顔でそう云った。
.
story29*お姫様にドレス→←story27*優しい尋問
912人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
ちょっと強くてちょっとヤバい異能力者は魔法学校に来たようです 7
【文スト】茜色に染まる学び舎、碧き日々【日替わり】
例え、貴方が私を忘れても・・・。【混血のカレコレ×BSD】
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時