story11*報告します ページ13
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やって来たのは、地図に書いてあった場所。
依頼主の待つ大きな洋館…………………
「…………何処ですか、ここ。」
「さあ……依頼主に指定されたんだけど……」
………………などではなかった。
目の前に広がっているのは、まさにホラー映画に出てきそうな古い館だった。
深い山々に囲まれ、昼間にも関わらず薄暗く、不気味な烏の鳴き声が聞こえてくる。
ぞくり、と背筋が冷えた気がした。
「あの、私帰ってもい「仕事だよ?」………ですよね。」
こういう類のものはあまり得意ではない………否、かなり苦手な部類に入る私。
無意識に体が震え出していた。
がしかし!
何気にこれが調査員ぽいのは初仕事な私。簡単に諦めて帰るなんて絶対に出来ない。
「い、行きましょう………だ、だだ太宰さん!」
「だだ太宰さん?」
ぷっと吹き出した太宰さんは、胸の前でぎゅっと握っていた手をとり、微笑んだ。
驚く私と目を合わせ、小さな子供を安心させるように云う。
「大丈夫、君の隣には私が居るでしょ?」
「っ、は、はい……!」
途端に、怖さなんて忘れて鼓動が早くなっていく。
その時に思い出した、少し前の晶子さんの言葉。
『ときめかせる』って、やっぱり太宰さんの作戦なのかな、なんて考える。
なら、一応………
「太宰さん、私、今キュンとしました……よ?」
「…………は?」
一応、報告しておいた方がいいのかな?
そうして私は感じたとおりに云ってみることにした。
すると、びっくりした様子で固まる太宰さん。
「太宰さん?」
「……それ、いちいち云わなくていいから。」
そう云う太宰さんの頬は、少し赤みを帯びているような………?
その時、私はとある仮説に至り、ニヤッと笑った。
もしかして太宰さん、私が素直に『キュンとした』って云ったから照れてるんじゃないだろうか。
それなら、意地悪のお返しをここですべきだ!
「太宰さん……私、いつも太宰さんの行動にドキドキしてるんです。どうすればいいですか?」
精いっぱい、“あざとく”云ってみた。
すると太宰さんは、先程よりも明らかに赤く染まった顔のままこちらを睨んできた。
「これ以上私を困らせたら、此処に1人で置いてっちゃうよ?」
「え!?」
途端に私の頬を冷や汗が流れる。
私は、先に建物に入っていってしまった太宰さんを全力で追いかけた。
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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時