story10*確信犯なおふたり ページ12
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髪の毛を拭き終わると、私は自分の仕事に戻る。
それを何故か、正面で見詰めている太宰さん。
「あの、仕事してください………」
「ふふふ、いやだよ?」
にこっと微笑んで、またこちらに目を向ける。
拭ききれなかった水滴がポタリとデスクに落ちる。なんか、色気が凄いです。
そんなところへ、タオルを片付けた晶子さんがやって来て云った。
「アンタら、いつの間に付き合ってたンだい?」
「…………へ?」
先程の揶揄うような笑みと違い、不思議そうな顔をして聞いてくる。
その言葉を理解した私は、大きな音を立てて立ち上がった。
「つっ、つつつ付き合ってなんていません!!!」
「ありゃ、振られちゃった。」
恐らく、私は耳まで真っ赤になってるはず。
対する太宰さんは、うろたえる私を面白そうに見つめ、くすくすと笑っている。
「猛アタックしてるんですけどねぇ……中々好きになってくれないんですよ。」
「そうなのかい?妾からすりゃどう見てもカップルだけどねェ。」
「か、か、かっ!!?」
今度は声にならない声を上げる私を無視して喋り始めるふたり。
この人たち、絶対に確信犯だ……!!
「どうしたら私に靡いてくれると思います?」
「そうだねぇ………ま、Aをときめかせるのが1番じゃないかい?」
「………っ、」
「具体的には?」
「……………………『お休みの
「!!?!?」
「与謝野先生、それ絶対適当に云ってますよね。」
苦笑いしている太宰さんを横目に、私はもう限界をとうに迎えていた。
デスクに座ると、事切れたように机に突っ伏す。
「…………あれ、」
「ちょっと揶揄いすぎたかねぇ。」
心臓のばくばくが収まらず、顔から火が出そうだった。
暫くそのまま顔の熱が引くのを待っていると、とんとんと肩を叩かれる。
「………なんですか。」
「顔上げてくれないのかい?」
意地悪をしてきた太宰さんへの精いっぱいの抵抗で、呼びかけられても反応しない。
………が、それは長くは続かなかった。
「ねぇ、A?」
「うひゃあ!!」
後から耳もとで囁かれ、勢いよく顔を上げた。
流石に悔しくなり、太宰さんのほうを睨んだ私。
「もう、何ですか!」
「はいこれ。一緒に行く依頼ね?」
手渡されたのは、地図の書いた小さなメモ。
………それは、急すぎる仕事のお話でした。
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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時