嘘つきプリンス 《片寄涼太》

Prince 16 ページ16

side 涼太








「ごめん、ちょっとどいてくれる？」

「はいっ…♡」






少し肩を触っただけで目がハート。

チョロイにも程があるんだよ。



女どもを軽く押しのけて、

Aを見つけ出しその腕を引く。


目を真ん丸にして若干抵抗するAを他所に、

俺はさっきの場所に戻る。




女どものざわめきが加速。


…さてさて。







「俺が告ったんだよ」







Aを俺の元に引き寄せてそういえば、

女子たちはキャーと声を上げたり、

言いふらすためだろうかどこかに去って行ったり。








「そういうことだから、Aにゴリ押しなんて俺、されてないからね？」

「ご、ごめんなさいっ…」







さっきからグチグチ言ってた1人にむけて、

いつも通りの笑みを見せると、

急にしおらしくなって走り去っていった。





そして俺は固まって動かないAに、

そっと耳打ちをした。









「とりあえずこういう設定追加で。」

「…はい」

「今日一緒に帰ろ。駐輪場で待ってる。」







最後にぽん、とAの頭に手を置いて、

ひらひらと手を振った。








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