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貴方しか覚えてない ページ22

あ、旦那様の目。


いつからか悠仁の目元には私を見つめる瞳が開いていた。赤い瞳と視線が交わって心臓がドキリ。早く貴方の四つの瞳に見つめられたいです。テレパシーを送るようにニコリと笑いかけた。


「それにしても、よく宿儺との縁談を受けようと思ったね」
「……あの頃の私に人権なんてあったもんじゃないですよ。私は貴族の娘と言っても妾との子でしたし」


母が妾であったから衣食住に困った事はなかった。豪華な食事に十分な教養を与えてくれ、庶民からしたら羨むような生活だったろう。親からの愛情は貰えなかったが。母は私を抱くこともなく、乳母に預けたっきり私に会いには来なかった。母は父を愛していたから、私を出産したっきり会いに来なくなった父が憎かったんだろう。きっとその原因を作った私も憎かった。


父は時折様子を見に来ていたが、私に話しかけることはなかった。初めて面と向かって話したのは縁談が決まったと報告された時だけだった。


「貴族ってことは苗字とかなかったの?」
「あったとは思いますが…覚えてないですね。旦那様に嫁いでからは使うことなど滅多になかったので」
「本当に両面宿儺関係しか覚えてないね…」
「当たり前ですよ。旦那様に出会って初めて自分の心臓が動きましたから」
「恐怖で?」
「いいえ恋心で、です」



再度、旦那様と目を合わせる。貴方を初めて見た瞬間に私の心臓は動き出しました。知ってますか、旦那様。貴方だけなんですよ、私の心臓を動かした人も、私の世界に色をつけた人も。好きですよ。早くこの気持ちが届かないかしら。


「お熱いことで」
「俺まで恥ずかしくなってくる…」
「おい小僧、何故お前が照れる。お前に送られた視線じゃないぞ!」
「あら、伝わりました?好きだってこと」
「カッーーー」


悠仁が声にもならないような叫び声をあげる。耳まで真っ赤だ。そういえば悠仁、少女漫画で真っ赤になるタイプだった。


「急に出てくんなよ…」
「自分の妻を見ることの何が悪い」
「惚気やがって…Aは宿儺のどこが良くて好きになったんだよ」


どこって全部。


マジかよ…って顔の悠仁と、冷やかすようにこっち見つめる五条。温度のないカメラに、この光景はどう写っているのだろうか。

流石最強→←正直、どうでもよかった。



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設定タグ:呪術廻戦 , 両面宿儺   
作品ジャンル:恋愛
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ゆうちゃんンンン(プロフ) - コメント失礼します。この作品を作っていただきありがとうございます。大好きですもし良ければなのですが、前世の記憶が無いバージョン?を作って欲しいなと思っています。自分、悠仁と宿儺推しでして、図々しいと思われるかもしれませんが気が向いたら作ってほしいです (8月2日 13時) (レス) @page50 id: f5df7aa05f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 大好きですぅぅ (2022年1月25日 1時) (レス) @page50 id: 639ef9d5fe (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - タイトルがモロ好みで作品も最高でした!最後の蛇足も良かったです! (2021年6月22日 20時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
西 - たまに出る夢主ちゃんのツッコミっぽい口調がとてもおもしろいです。。ありがとうございます。 (2021年3月29日 2時) (レス) id: a86aefda0e (このIDを非表示/違反報告)
宿儺 - 宿儺マジ神かよ♪素敵 (2021年1月20日 19時) (レス) id: c0f52421e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年12月19日 15時

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