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私と愛しの君は東京都立呪術高等専門学校に転校するらしい。決定事項で伝えられた。どうやらあの人外を吹っ飛ばした時に湧き出たナニかはジュリョク?というものらしい。確かに小さい頃から変な気持ちの悪いものが見えたが、あの人外もそれの仲間だと教わった。
昨日両親に殴られた怪我は家入先生という方が綺麗に治してくれた。あまりにも綺麗に治るもんだから、ビックリした。痣ひとつない腕を見るのは久しぶりだ。腹だって綺麗なもんだから思わず愛しの君に見せてしまった。君は真っ赤な顔をし慌てふためくもんだから、思わず写真を撮った。ふふ、真っ赤な顔のレアショット。
高専は寮生活らしいから更に嬉しい。愛しの君と少しの間だけでもいられたら幸せなのに、ずっと一緒にいられるなんて幸せで死んでしまうのではないだろうか。
「愛しの君!こんばんはいい夜だね」
「君じゃなくて名前で呼んでよ…こんばんはA」
名前を呼ぶのは照れる。君のお願いは全て叶えたいのだが、それだけはちょっと待ってほしい。同級生になる野薔薇に付き合ってもらって練習しているのだが、なかなか実行出来ない。意気地なし。
夜中に寮を抜け出して、愛しの君と待ち合わせ。最近の日課だ。すぐ近くの距離にいると分かっていると今までより我慢できなくなって会いたくなる。君の写真を眺めるだけじゃ満足出来なくなってしまった。
君の隣に座って手を重ねる。暖かい。君の肩に頭を乗せると、心臓がじんわり、これが幸せか。ポツポツ君と話して、微睡む時間が幸せで仕方がない。きっと、このまま死んでも後悔しないくらい。まあ、君を残して死んだりはしないけど。
あ、君の視線と交わる。熱っぽい視線は、聞かなくても何されるか分かる。頬に手が添えられて、私は君の服を握った。ちゅ、控えめな音がして唇が重なる。
触れるだけのキスは角度を変えて何度も。唇を薄く開けたらそっと入ってくる舌が、愛おしい。
「……んっ」
「ねぇ、名前呼んで」
「……じゅ、順平く、ん」
「うん、A」
心臓が破裂しそう。いっぱいいっぱいで、頭があやふやなときは名前で呼べるのに、なんで普段は呼べないのか。自己嫌悪。
銀の糸が私と君を繋いで、キラキラ輝く。プツンと切れたら、二度目の合図。君の体温が直に伝わるこの時間が、一等大切。
君がいるなら何処へだって。どんな地獄が待っていようと、こうしていれば大丈夫だよ。君が生きてれば、君が隣にいればそれだけで満たされる。
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薆 - もう最高すぎです。読んでて胸がいっぱいいっぱいで、自分に重ねてしまいました。言葉選びも胸に刺さります。泣きそうでしたが、書いてあった「人工呼吸」を聴いて号泣しました笑 (2021年3月28日 16時) (レス) id: 5a8be2f728 (このIDを非表示/違反報告)
海夜海月 - 最高です。泣きかけました。これからも頑張ってください。 (2021年3月24日 1時) (レス) id: 6a4cb75c85 (このIDを非表示/違反報告)
エタニティ(プロフ) - 一気に全部読んじゃいました。この作品に出会えて幸せです! (2021年2月23日 15時) (レス) id: 5dea0f434c (このIDを非表示/違反報告)
七夏(プロフ) - 面白いです!続きを楽しみに待ってます! (2021年1月21日 23時) (レス) id: 716685a2fc (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 最高です! (2021年1月19日 0時) (レス) id: b3889a91c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2021年1月16日 21時