番外編 15周年 ページ38
しきかんside
「誕生日おめでとう」
Aはそう言うと目元を柔らかくし、普段よりも口角が上がった表情をしていた。そのまま僕を抱きしめると、珍しくAの方からキスをした。
すると、暖かいものが胸の中から広がるような感覚がして、僕はその暖かい何かに酔ってしまいそうだと感じた。
「……クラウスとリュカが肉体的に産まれたのはあと数ヶ月先だった筈だ」
「あ、いやそうじゃないんだよ」
なら、何の事だろう。キマイラとしての僕が誕生したのは、それから数週間後だ。それとも、自我の事だろうか? いや、それでもまだ先だ。
Aは一体なんの事を言っているのだろう。
そう思っていると、Aはすぐに説明し始める。
「私の元いた世界で、この世界が世に出回った日なんだよ。それで今日が15年目、沢山の人に望まれてこの世界がようやくできたの」
「……なるほど」
「うん、個人的にゲームは誰かにやってもらって初めて存在するものだと思ってる。だからその世界が誕生した事と同じなのかなって」
「つまり、僕……いや、この世界の存在自体が15年前に産まれたから誕生日という事か」
「まぁ、そんな感じ」
「……こちらからしたら、神のような存在に遊戯として産まれ、こうなったのにはあまり納得はいかないが」
「それに本来はここに来れないし、こんな結末にもならなかった」
「不満か?」
僕はそう聞くと「まさか」と言い、肌触りのいい頬で擦り寄せてくる。
「むしろこれで良かった」
「そうか」
そう言うAの頬に触れると、しばらく撫でてから僕はさっきのキスに返すように唇を重ねる。
ずっと、こんな日々が続けばいいとさえ思う。だが、この世に永遠は存在しない。この作られた世界でも、いつかは太陽に飲み込まれ消えるように。
死が僕とAを分かつまで、せめてその時も傍に居られたら。
「……好きだ」
「知ってる」
「愛している」
「それで?」
「キスがしたい」
「さっきした」
「……Aとシたい」
「ダメ」
「何故?」
「まだ早いから」
リラックスした声が耳元で囁かれる。まるで僕を誘惑しているようだ、本当にずるいな。
毎日我慢しているというのに、本当に僕を理性を削るのが上手い。
「あと何年待てばいい?」
「私が18歳になったらね」
そう言い、Aは僕の耳を優しく触れ、僕の後頭部を撫でた。ゾクゾクとした感覚が背筋に走る。
「んっ……」
……本当に、僕の理性はどうにかなりそうだ。
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リスタ - 誕生日ですか!おめでとうございます!オリビア「おめでとう♪」ドーリア「おめでとう。素敵な日々になれると良いな。」リスタ「おめでとうさん♪ゆっくりもお祝いするぞ♪」オリビア「リュカ達は女の子にアピールされたら、どうするのかな?」カルリ「おめでとう。」 (2021年6月22日 0時) (レス) id: 85e8ed9632 (このIDを非表示/違反報告)
水性さん(プロフ) - 今日はあほの誕生日、明日はエッなやつが出せるように頑張ろう。 (2021年6月21日 22時) (レス) id: fcb6599f46 (このIDを非表示/違反報告)
リスタ - リスタ「しきかんどのよ…。リュカの事…どう思っているんだ?」オリビア「兄弟揃って恋してるのね…♪」リノア「リュカも夢主と結婚したい気持ちは分かるけど、しきかんどのも結婚したいのね。」リスタ「更新は頑張ってよ♪無理はしないようにね。」 (2021年6月17日 15時) (レス) id: 85e8ed9632 (このIDを非表示/違反報告)
リスタ - 今度はリュカとのデートですか…。ナツルを助ける為に来たんですね。カルリ「リュカとのデートがちょっとシリアスらしいわ。」ドーリア「しきかんどのは、どんだけ夢主ちゃんを守りたいんだ?他の男から守る為か?」 (2021年5月22日 0時) (レス) id: 85e8ed9632 (このIDを非表示/違反報告)
水性さん(プロフ) - リスタさん» きっと夫婦でイチャイチャしていることでしょう。これからはもっとギリギリを攻めていきたい。それで男の子はアルバス、女の子はルミリア……とかかな。名前はMOTHERワールドに合わせてる。更新頑張るます。 (2021年5月1日 0時) (レス) id: fcb6599f46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水性さん | 作成日時:2020年9月16日 13時