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No.11 ページ11

「トにカク、トにカク、シュッパツしよう」


楓は紫色のウエストポーチは腰に巻くと、ゆったりと立ち上がった。

雛はひよの能力は、とその背中に声を投げ掛けかけた。
しかし、喉まで出た声を強引に臓物の辺りまで押し戻して彼女は喉を鳴らした。

貴はピンクのナップザックを背負い
雛は黄色のリュックサックを背負い
聖はミントグリーンのハンドバッグを持った。

聖はさっき来たばかりなのに何故鞄が用意されているのだろう。

雛は不思議で不思議で仕方無かったが、途中から考えるのも面倒くさくなり、
「楓はエスパー」という考えに落ち着かせる事にした。


「その鞄の中、これから必要になりそうなモノ入れといたからねー」


楓はてるてる坊主のストラップの付いた自分の鞄を手で持ち上げ、揺らした。

貴は試しに自分の鞄の中を探ってみる。

邪魔にならない様に、と玄関から少し離れ廊下に座り込む。


「お金、ハンカチ、ティッシュ、櫛?」


貴は私男なのに何故、と櫛を持ちながら首を傾げる。

雛もそれを見て自分のリュックサックのファスナーを開ける。


「お金、タオル、絵筆セット、櫛は無いね」


聖も鞄を漁るが、大したモノは入っていなかった様子だ。

楓は玄関の扉に手を掛けたまま後ろを振り返った。

女性らしい身体のラインが、改造されたジャンプスーツによって強調される。


「今からわたし達は勇者にならないといけません!」


楓は左手の人差し指を高く掲げてそう言った。

他の3人は一斉に首を傾げた。


「まー、わたし達勇者だおって偽るのも良いけど、
やっぱり、ホントーに、勇者になってこの町救った方が楽しくなぁい?」


楓は扉から手を話すと徐に貴の後ろにくっつき、
3年間切らずにいた彼の長い焦げ茶の髪に手を掛けた。


しょきん、


軽やかな音と共に、髪が舞い落ちた。

雛は貴の顔をじっと見た。

目元のきりりとした雰囲気や、小さめの唇により、
髪を切られてボブカットの様になった貴は可愛らしく思えた。


「お前、何して」


貴は髪を切られたショックか何かで瞳が虚ろになった。

雛も唖然とした。

彼のそんな顔を見るのは初めてだった。

いつも自信があって、素敵で輝いていた中学生の時の姿とは大違いだった。


「そうそう、大人しーく、ね?」


甘く高い猫撫で声で話しかけられ、雛の頭もだんだんぼぉっとしてくる。

しゃきん、と呆気なく、彼女の髪も切られてしまった。

貴より短く、男子の様な短髪に。


「ダイスき、」

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作者名:赫赤(かくせき) x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年2月9日 21時

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