好きになっては、いけないのに。 (ページ7)

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複雑ページ7

「…立てるか? まだ油断出来ねぇし。それにここから移動した方がいい」

『あ…えっと、そうしたいのは山々だけど…ちょっときついかも』

「は? なんで…ってその体のかばい方…怪我、やっぱりしてんだろ」

『あ、はい…』

ジトっとした目で私を見る五条。でも、やっぱり安心感の方が勝って、そんな視線も今では安堵の材料となる。

…というか確かにさっき怪我してんのかって言われたんだった。違うとかつい感情の高ぶりでそんなこと言っちゃったけど大分大怪我してるんだったわ、私。

呪力が回復すれば多少は治癒できるんだけど…あ、反転術式ではない方法でね。私の術式結構特殊だから…ってこの話はまた今度。

「あー…立つのも厳しいとなると歩くのもままならねぇよな…。…体、もしくは患部に触れたら痛いか?」

『何その質問…まぁいいや、多分大丈夫。全身骨折してると思うけどなけなしの呪力で痛みカバーしたし。でも自力ではまだ体動かせな「ふーん。じゃ、善は急げだな」…って、ちょちょちょ何してんの!!?』

ひょいっと体が宙に浮いたと思ったら、いつの間にか五条の腕の中にすっぽりと埋まっていた。
私は一瞬何が起きたのか分からなかったけど、視線の先にある五条の顔の距離に「そうなっている」と、事態を把握。てんぱりにてんぱった。

…何も姫…横抱きしなくてもいいじゃないですか五条さん。
というか恥ずかしくないのでしょうかこのお方は。私は恥ずかしいのですが。心臓バクバクなんですが。

そんなことを私が考えているのはつゆ知らず、涼しい顔をした五条はその場から走り始めた。
と、同時に私に話しかけてくる。

「とりあえずお前は一旦高専戻って硝子あたりに治療してもらえ。俺が連絡入れておくから。あと一応確認するけどよ、この任務は遂行不可だってことは分かったな?」

『え…で、でもあのワンちゃんあのままにしたら危ないでしょ!? それに…今回の任務、相当厄介だから治療終わったらすぐ戻るからね私! それにこの怪我だってちょっとハプニングがあったからこんなんなったわけで…』

「…ダメだ。んな怪我してるところ見て、はいまた任務行ってらっしゃいって送り出すようなやついねーよ」

『…』

…ごもっともです。

というか、確かに五条の意見は正しいと思う。もし私の立場と逆だったらそれが五条であろうと夏油であろうと硝子であろうと誰であろうとも止めるだろう。

…だから…仕方ない。

『…言う事聞きます』