第七十四話 違和感 ページ24
王宮の礼拝堂
その扉を魔法で破壊して中に入る
(ここでママは最後を迎えた。ママの体は消えて、引き裂かれた魂は・・・あれ？どこにいったの？)
必死に思い出そうとしても思い出せない。確かに魂はまだこの世界にあるはずだ。気配がするのだから
でもそれがどこにあるのか、どんな形をしているのか、まったく思い出せない
「？？」
首をかしげる
「おかしい・・・私は、なんで忘れたの？うんん、違う。忘れていない。これが正常なの。違う！違ったの！違ったんだ！！」
頭を抱え叫ぶアストリッドに遅れて礼拝堂に辿りついたステファニーが駆け寄る
「アリスさん？」
「ステフ！違ったの！私、おかしかった！ママの魂なんて集めてもママは蘇らない。それを知っていたのに、私は知らなかったの！知らなかったから魂を集めようとした！」
「えっと、アリスさん？それはどういう意味でしょうか？アリスさんはずっとお母様の魂を探していたはずですが？」
「それが違ったの！私、そんなことしちゃいけないって、知っていたのに、知らなかったの！おかしいの！ユーグスタクトとしての使命は体が知っているのに、私の知らないことが、私の頭の中で命令してくるの！」
グニャリと嫌な音とともに空間が歪む。アストリッドはステファニーを振り払うと歪めた空間の中に身を投げた
「アミタ！！！」
「わっ！？リッド？どうしたの？」
突然現れ抱き着いてきた友人に驚きながらも受け入れる
「アミタ！教えて！私、何をしていたの？」
「リッド？」
「なんでママの魂を集めようとしていたの？私は誰！？私の中にあるものはなに！？おかしいのは私だったの！私の中に私の知らない力があるの！」
「・・・・・・」
取り乱す親友に対しアミエリタはそっと目を閉じただけだった。いつものように優しくなだめるように抱きしめてくれるわけでもなくただ静かに目を閉じただけだった。やがて決心したようにそっと目を開けるとまっすぐにアストリッドを見つめた
「―――いつかはリッドが知ることだったこと。私の中の力が教えてくれた」
「アミタ？」
「私はずっと気になっていたの。リッドからはユーグスタクトとしての機能が全然感じられなかった。だってユーグスタクトは先代の魂を集めるなんてことはしない。リッドは魂を求めていたんじゃなくて、それはリッドが私のところに来てくれるようにセイラがかけた魔法なの。」
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作者名：ストゥアート | 作成日時：2017年6月24日 22時
