第七十三話 裁きの時 ページ23
世界がまた回る。次に現れた場所は先程と同じ場所。テオドシアの前に立つセイラの足元にある魔法陣が光っていた
その魔法陣を見た瞬間アストリッドに嫌悪と恐怖の感情が押し寄せてくる
(やだっ・・・ママ!そこから離れて!だめっ!!)
その魔法陣が何なのかはわからないが自分にとってとても嫌なものであることだけはわかる
「―――裁きの時ね」
「えぇ。ありがとう。テオ・・・私のわがままを聞いてくれて」
「本当、あんなことを言ったユーグスタクトは初めてなんだからね」
「そっか・・・」
それから二人はしばらく話していた。久しぶりに会う友と語り合うように。しかしやがてセイラの顔は曇り悲しみに染まった。
母のこんな顔は初めて見た
いつも笑顔でいた母は今、不安そうに、悲しそうな顔をしている。しばらくするとテオドシアは剣を手に椅子から立ち上がった
「じゃあ始めるわね・・・罪深きユーグスタクトよ、断罪の楔により汝に罪を与えよう。汝の罪、それは汝の存在そのもの。黄金の楽園より落ちた哀れな魂は汝の罪」
「あぁ・・・やっと終わるのね・・・ 」
(だめっ!!ママ!逝かないで!!)
アストリッドの願いもむなしく魔法陣から出てきた鎖がセイラに絡みつく
「あはっ、こんな時でもあの子の笑顔を思い出すなんて・・・だめね・・・・」
「さよなら、セイラ」
(だめっ!ママっ!)
鎖がセイラの身体をきつく縛り上げる。セイラの身体が黄金に輝き始める
「愛しているわ・・・アストリッド・・・私の、愛しいむす・・・め・・・」
テオドシアが剣を魔法陣に突き刺すと同時、セイラの身体は弾けるように消えた
「さよなら・・・・優しすぎた私の友達・・・」
(やだっ!やだっ!ママッ!)
「ママっ!!!」
はっと目を覚ますと心配そうに自分をのぞき込むステファニーの顔が飛び込んできた
「―――ステフ??」
「よかった。目を覚まされたのですね。アリスさんの悲鳴を聞いて駆けつけてみたら倒れていたんです。覚えていませんか?」
「・・・・・・」
ゆっくりと起き上がると涙が頬を伝う
「アリスさん?」
がばっと立ち上がると日記を片手に走り出した
「アリスさん!?」
突然走りだしたアストリッドの後を慌てて追いかける
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作者名:ストゥアート | 作成日時:2017年6月24日 22時