第七十五話 地下の空間で ページ25
「私の中にあったセイラの欠片を求めてくれるように。だからあなたは魂を集めようとした。私の元に行くために。でも私と出会ってからも必要に魂にこだわり続けていた。それはどうして?」
「わかんないの。だけど、私は確かに魂を集めなきゃって、結界を壊さなきゃいけないんだって、ずっと思っていたの」
「結界?それはどこの?」
「世界とローレンヌ様を隔てる結界。この結界のせいでローレンヌ様の力はこの世界に溢れることはなかった。だけどそれじゃいけないんだって。誰かが私の中で言ったの。結界を壊せ。ローレンヌ様の力をこの世界に満たせって」
「それは誰が言っているの?」
「わかんないの・・・私・・・なんにもわかんない。でも・・・―――私・・・お城に帰る・・・」
そう告げると少女はアミエリタの静止を無視して再び姿を消した
「・・・違う、これも違うっ!!」
城の書物庫でひたすら何かを漁るアストリッド。戻って来てすぐ書斎に駆け込み乱暴に本を漁る。使者は隅で主の命を待ちながら時折飛んでくる書物を拾い片付けていく。
「っ!これも違うの!これも違う!違うっ!!」
書物を開いては投げ捨て、開いては投げ捨ての繰り返し。幾千もの歴史があるユーグスタクト城の書斎は遠くが見えないほど広く、様々な本が置かれていた。
「あーもうっ!!ここにあるもの全部違うっ!!・・・―――あぁ、そっか」
なにかに気付いたように扉を乱暴に開き書庫を出る。そのまま薄暗い廊下を走り、階段を飛び降り階下に向かう。大広間を走り抜けさらに下へと続く階段を駆け下りる。
地下に続く階段は城内よりも暗く、そしてどこか不気味だ。長く続いた階段を降りきるとそこは怪しく光る巨大な地下の部屋だった
淡い青色に光る水があたり一面を満たし、そして部屋の中心に続くように細い道ができている
「・・・・・・」
ゆっくりとした足取りで細い道を歩く。一歩また一歩歩みを進める度水面から空中に向かって水柱がゆっくりとうねるように複雑な模様を描き出す。細い道の先端、部屋の中心にたどり着く頃には複雑に描かれた立体的な魔法陣が描かれていた。
「―――ここだ・・・思い出した・・・なんで忘れていたんだろう・・・私は・・・ここを知っていた・・・」
そう呟きアストリッドは静かに目を閉じた。水柱で描かれた魔法陣が光だした。
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作者名:ストゥアート | 作成日時:2017年6月24日 22時