第七十二話 セイラの望み ページ22
「50年以上前に暗黒の厄災を引き起こしたあなたにはもう力は残っていない。核も次世代に移っている。あなたはもう消滅を待つだけの存在。裁きを受けるのよ」
「いいえ。私は裁きを受けない」
魔法陣から砲弾が現れテオドシアを囲む
「ユーグスタクトが御子に脅しをかけるの?でも知っているでしょう?御子にあなたの力は通じない」
「えぇ知っているわ。だからこそ話を聞いてほしいの。私の願いを聞いてほしいの。私の懺悔を、私の・・・私たちユーグスタクトの祈りを・・・」
今にも壊れそうな笑顔で笑うセイラにため息をつき椅子に座りなおすテオドシア
「話はなに?」
話を聞いてくれると判断し魔法陣を消す。
「私の願いは・・・延命・・・」
「は?」
予想外の単語に思わず間抜けな声が出てしまう
「延命?どういうこと?」
「視ての通り核を失ってなお私にはまだ膨大な魔力が残っているの。私は持てる魔力すべてを使って・・・私の最後の願いを叶えたいの・・・あなたにはその手伝いをして欲しいの・・・裁きはすべてが終わったときに受けるわ・・・」
「あなた・・・自分が何を言っているのかわかっているの?裁きまでの間あなたは激痛を伴いながらゆっくり崩壊をしていく。もしも裁きが間に合わなかったらあなたに終わりなんて来ない。永遠に世界の理から外れ消滅すらできなくなるのよ?誰もあなたを感じることができなくなって、ただそこに存在するだけのものになれ果てる」
「いいの。そうなってしまっても私は構わない。だって私は罪を犯してしまったのだから・・・だから、私は叶えるの。私の持てる命を総て使い尽くしても、私たちユーグスタクトの祈りを、ローレンヌ様の願いを」
「―――あなた・・・まさか次の器にもなにかしたんじゃないでしょうね?・・・」
「アストリッド。可愛い名前でしょう?私はアリスって呼んでるの。笑顔がすっごく素敵で、私の自慢の可愛い娘なの」
可愛い可愛い娘を自慢できて嬉しそうに笑う。その姿を見てテオドシアはやっと理解した
「そっか。あなたもうとっくの前に壊れていたのね。ユーグスタクトに感情なんて機能ついてないはずなのに。わかったわ。協力をしましょう」
「ありがとう・・・」
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作者名:ストゥアート | 作成日時:2017年6月24日 22時