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第三話 広い広いお城 ページ4

重い鉛色の雲が空を覆い、絶え間なく吹雪が城の窓を叩きつけようとも変わらずいつもの時間となり目を開ける少女。吹雪で覆われている薄暗い古城。唯一の明かりでありぬくもりでもある暖炉の火は変わらず燃え続けている。

「ぅ・・・」

 目が覚めゆっくりと起き上がり部屋を見渡す。椅子の上には母がくれたぬいぐるみたちが座っている。窓は寒さから部屋のぬくもりを守るために重いカーテンがかかっていたが今は主の起床に合わせ開かれている。

「おはようママ・・・今日も外は吹雪よ」
 誰もいない空間にそっと呟く城の主である少女、アストリッド。小さい頃は目が覚めたらいつも隣には大好きな母がいて、窓を激しく叩きつける吹雪が怖かった時も、いつも、どんな時でもいてくれた。

 だがもういない。

 エルトリアの御子に引き裂かれた魂の欠片を全て見つけ出すまで暖かな手に触れることは出来ない。

「ママ、寒いわ―――冷え切ってしまった私の身体を温めて・・・大丈夫よ、すぐに見つけてあげるから・・・怖くないよ、だって私は強いもの。だから、早く私を抱きしめてね」

 独り寂し気に微笑み寝台から降りると部屋に数人の赤いローブを羽織った人達入ってきた。フードを深く被っているため顔は見えないが対して気にすることでもない。差し出してきたローブ掴み羽織る。血のような真紅のローブに袖を通し開かれた扉から廊下へと出る。

 等間隔に置かれた蝋燭が唯一の光源の薄暗い廊下。狂いそうなほどの静寂の中でアストリッドの靴音だけが響く。この広い古城にはアストリッド以外誰もいない。メイドもいなければ従者もいない。いるのは自分の使い魔のような赤いローブを深く被る使者だけ。

 でもそれは彼女に話しかけることもなければ彼女の孤独を埋めてくれるわけでもない。ただ主である少女の命令のみを聞き行動をする人形だ。だからこの広い城ではアストリッドはいつも独りぼっちだ。

 だが彼女は独りが嫌いだった。

 あの日、あの夜、突然母が消えてから独りが怖くてたまらない。

 だから今日も出かける
 
 この寂しく冷たい城に閉じこもるよりも少しでも暖かな場所を求めて

「じゃあいってきます、ママ」

第四話 人間の世界へ→←第二話 母の祈り



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ストゥアート(プロフ) - 昔少女さん» コメントありがとうございます。更新頻度は遅いですが、楽しんでいただければ幸いです。これからもよろしくお願いします。 (10月22日 14時) (レス) id: df3bdd8f8f (このIDを非表示/違反報告)
昔少女 - あなたの生み出す想像の世界を私も漂っています。 (9月17日 15時) (レス) id: f6820b1fd8 (このIDを非表示/違反報告)
ストゥアート(プロフ) - エリザさん» ありがとうございます。今週は期末試験期間なのでほとんど更新ができませんがこれからもよろしくお願いします。 (2016年7月25日 20時) (レス) id: df3bdd8f8f (このIDを非表示/違反報告)
エリザ - 更新まっています(^_^)/~ (2016年7月25日 11時) (レス) id: fa956406d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ストゥアート | 作成日時:2016年7月4日 21時

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