５７ Side M ページ27
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「そういえば今日相葉さんは？あの人実質的なお前の保護者じゃん。来ないの？」
いつも兄のように接しているマネージャーの相葉さんを見ているから今日ぐらい守って入ってもいいのに。
「学校は私だけの世界だから俺が入っちゃいけないって。あと雅紀くん学校に良いイメージなくって……」
「へえ……」
相葉さんが3年前までモデル活動をしてたことは知ってたけど、それ以外のことはよく分からない。
あの人、人の良さそうな笑顔をしてるけど、実は隙がなかったりする。
「それにこんなときまで私のお守しなくていいんだよ。事務所の仕事だってあるし、プライベートだって……」
あの人はきっと自分を犠牲にしてまでもAを守りたいんだと思う。
俺はどうなんだろ。
「じゃあ別にその櫻井先生と一緒に回らなくても良くない？」
「そうだけど」
先生と文化祭を回りたいということか。
俺はアウトオブ眼中だと思い知らされる。
「飯塚」
その声にAは振り向く。
「櫻井先生」
「二宮は行ったのか。……彼は？」
この人が……櫻井先生。
「……川田大知です」
Aは小声で言った。
櫻井先生は俺を見て驚いた様子を見せる。
「マジか。ようこそ月ヶ丘へ」
こう言って爽やかに笑った。
このイケメン先生が……。
「……はい」
「飯塚、悪いんだけど初日だから色々トラブって、今一緒に回れなくなった。だけど君がいるなら大丈夫だね。飯塚をよろしくね。相葉さんから何もないようにって言われてるから」
「……分かりました」
「はい」
Aはわずかに残念そうな顔をした。
「飯塚」
櫻井先生は優しく声をかける。
「……はい」
「せっかくの祭りなんだから楽しめよ」
「はい」
じゃと言ってその人は背を向ける。
その背をAはじっと見つめる。
その目は宮島花蓮が恋する先生を見ていた時のモノ以上に思いが込められていた。
「残念？」
「しょうがないよ。先生は忙しいんだから」
勝手にわがままなイメージを植え付けられているが、Aはわがまま一つ言わずにこれまでやって来た。
「二宮くん見に行こう」
今も諦めてニノを見に行こうとする。
多少のわがままも俺は構わないのに。
原因は生い立ちか。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2018年7月18日 9時
