月水晶２【S.S】 (ページ25)

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「Jくん何時までいられるの？」

「今日は予定がないから……」

「じゃあ1時からの軽音楽部のライブ、俺出るからAと一緒に見に来てよ」

「軽音なんだ」

「そう。将来の大物シンガーソングライター、二宮和也。覚えていて損はないんじゃない？」

こう言うとJくんはプハッと笑って、意志の強そうな瞳を俺に向けてきた。

「そう言うなら俺は未来の名優だな。またどこかで会いそう」

一応ライバル宣言のつもり。
きっと同じ立ち位置のはずだから。
Jくんがあの人を知ってるか知らないけど。

「ごめんね。お待たせ」

Aが帰って来た。

「あれ？二人とも仲良くなった？」

俺たちのどこを見てそう言ったのかは分からないけど。

「まあそうなんじゃない？」

俺がこう言えば。

「ニノなかなか面白そう」

Jくんはこう言った。
明らかAの頭の上にクエスチョンマークが見えたけどお前は知らなくていいよ。

「次はどうする？」

今はいつも冷たい色の瞳に温かさが加えられるのなら何でも。

たまたま通ったところでクラス演劇が始まるというので、Jくんが冷やかしで見るかと言い、中に入った。
シンデレラをパロディーにした話だった。

俺は演劇素人なので二人に感想を聞く。

「なかなか面白かったよね」

「ああ。脚本も演出も凝ってた。教室でやるのもったいなかった」

そう言って二人はシンデレラが良かったとかあそこの演出の意味などを話していた。
二人とも良いと思ったら良いと言うんだなと思った。

生憎にも俺は軽音の方に行けなきゃいけない。
本当は櫻井に引き渡したいんだけど今日回ってきて姿を見てない気がした。

「俺行かなきゃ。A、櫻井探す？」

「探す」

「じゃあな。二人とも絶対来いよ。来なかったら呪うからな。あとJくんAよろしく」

俺は伝えたいことを伝えて、二人から離れる。

この後のことを知るのはだいぶ後の話。

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